料理長と御曹司 ページ39
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
Ｓ「潤、明日の朝飯、頼むわ」
そう言って、フラッと現れて不機嫌ＭＡＸのまま２Ｆに翔さんが上がっていったのは数時間前のこと。
ウチの料理を食べに来てくれてたお客様は勿論、フロアに出てたスタッフも見惚れつつ唖然としてたのも、いつものこと。
翔さんが、あんな風になってる時は。
歩美さんと何かあった時か、歩美さんと何かあった時か、面倒事があった時かの、どれか。
今回は、どれだろ？
面倒事かな？
だとしたら、晩酌も必要だな……。
お客様の料理は作り終わったし、あとは閉店まで問題が無ければ……なんて思ってた俺の頭に響いたのは、翔さんの声。
Ｓ「頼む……待ってるわ」
ふふっ。
どうやら面倒事だったみたいだ。
いいワインと焼酎が手に入ってたし、それに合うツマミを何種類か持って上がれば良いかな？
不機嫌ＭＡＸな翔さんを見たスタッフが、気を利かせて後の事は任せてくれって言ってくれたし。
手早くツマミを準備して、酒も併せて２Ｆに持って上がれば。
まるで自動ドアみたいに翔さんの部屋の扉が開いて、申し訳なさそうな顔して俺を迎え入れてくれた。
Ｓ「アイツ、信じらんねえ！！俺は久々のデートだったっつうのに……」
ブーブー言ってる翔さんは、せっかく綺麗にセットされてた髪をワシャワシャと掻いて。
どっかりソファに座ると、ふん！と鼻息を荒げながら足を組んでソファに凭れた。
ワインをグラスに注ぎながら翔さんの話に耳を傾けてみれば……。
へぇ？
カズに専属？
「明日、雪でも降るんじゃね？」
Ｓ「しかもアイツ！！契約書だけ送って寄越して、今まさに相手喰ってんだぜ？信じらんねえ！！誓約書の手続き即やらなきゃいけねえって知ってんのにさぁ！！」
翔さんが指をパチンと鳴らせば、デスクの上に小さな煙がポワッと出て。
チラッと見えた誓約書には【契約します】【違反しません】の文字だけが見えたんだけど……。
「え、誓約書、ソレだけ！？」
Ｓ「マジで、アイツ……いい加減を通り越して簡略過ぎてツライ……俺がこの後、どんだけ手続きしなきゃいけねえと思ってんだよホント……」
「……翔さん、がんばです」
Ｓ「もうアイツ何とかして！！」
そん時、俺は。
翔さんをこんだけヒーヒー言わせてるカズを、逆に尊敬するな……なんて思ったとは、言えない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 876人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒衣(プロフ) - すいれんさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けたようで嬉しいです♪ 不定期更新ゆえ、お待たせしておりますが…(汗) 翔さんと歩美さんを気に入って頂けて嬉しい＆私もあのふたり好きなんです♪ また楽しんで頂けるように頑張りますね！ (2018年9月19日 2時) (
レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
すいれん(プロフ) - とても楽しく見させて頂いてます。次の松本さんの回がとても楽しみです！特にお気に入りのカップルが櫻井さんと歩美さんです。これからも頑張ってください！ (2018年9月15日 21時) (レス) id: a60a572cae (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - ジュンさん» 小悪魔黒服サン、少し淋しい事を伝えてましたが…そんな事にならないと良いですよねぇ…。激甘でも振り回されても良いとは…(確かに！と思ってる)楽しんで貰えて＆私も好きな話なのでホント嬉しいです！(*'ω'*)♪ (2017年7月18日 13時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - ぐちこさん» こんにちは！お待たせしてます(汗) 小悪魔さんが小悪魔してます♪彼の言葉選びは秀逸なので近付けられないのが心苦しいですが、するっと潜り込む術は私も欲しいです。そして私の所にも来て欲しいです(おい) (2017年7月18日 13時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - 小悪魔…なんか少し淋しい事言ってましたね。記憶を消されるような事がおきなきゃ良いなと思います。とにかくあの小悪魔君が決めたオンリーワンなので、激甘でもいい！色々と振り回されても大丈夫！とにかくこのお話大好きです！ (2017年7月17日 20時) (レス) id: 4c513d08fd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
