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「あぁ、起きた？」と声を掛けてきたのは、キッチンからひょこっと顔を出した、このお店のシェフだった。
驚いて固まる私を余所に、カウンターの席を少し引いて、どうぞ？と右手を差し出す。
促されるままその席に座れば、フレンチトーストとコンソメの野菜スープ、小さめのサラダを目の前に置かれ。
漂う良い香りに返事をしたのは私のおなかの音だった。
『すっ、すみません……』
私が鳴らしたおなかの音に、にっこり笑ったシェフは、事の次第を教えてくれた。
私に『カズ』と名乗った彼が、意識を飛ばしてしまった私をあの部屋に連れてきたこと。
無粋な輩が入り込まないように、私が目を覚ますまでシェフが見張りのような事をしてくれていたこと。
当の本人は、毎日欠かさない朝の習慣があるらしく……その為にこの場所に今いないということ。
余りの美味しさにパクつく私を、カウンターに両肘をついて、その手に顔を乗せたシェフがニコニコしながら眺めていて。
以前このお店に来た時に見た真剣な表情からはかけ離れた、子供みたいな笑顔にドギマギしてしまう。
そうして朝食を頂いてしまって、頂いた分を支払おうと思ったら『また来てよ』と断られ。
『乗ってくれないと俺が叱られる』と、いつの間にか呼んでくれていたタクシーにまで乗せられ。
ニコニコで手を振るシェフに見送られて、その場所を後にして……。
それから『カズ』とは会っていなかったのに……。
.
『……なんで家の場所』
「そんなの俺のツテ使えば簡単」
『父の事も、母の事も、貴方には話した事なんて無い……』
「それも同じだね、コッチには超強力な情報源があるからちょろいよね」
私の首筋を撫でていた指が、するすると上がってきて……頬を包んでる手が温かい。
ゆるゆると頬を撫でる親指が、私に触れている掌が、どうしてか優しくて。
逸らしていた視線を『カズ』に向ければ、私の心臓がドクンと音を鳴らした。
「……ん？」
少し首を傾げる仕草、私を見つめる薄茶色の瞳、くるんと上がった口元……。
『カズ』を象る全てが綺麗で。
石みたいに固まってしまった私に、『カズ』は楽しそうに……そして嬉しそうにクスッと笑う。
「あんま固まってると……俺、脱がしちゃいますけど？」
ビクッと反応した私を揶揄う様に、『カズ』はクスクス笑う。
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黒衣(プロフ) - すいれんさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けたようで嬉しいです♪ 不定期更新ゆえ、お待たせしておりますが…(汗) 翔さんと歩美さんを気に入って頂けて嬉しい＆私もあのふたり好きなんです♪ また楽しんで頂けるように頑張りますね！ (2018年9月19日 2時) (
レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
すいれん(プロフ) - とても楽しく見させて頂いてます。次の松本さんの回がとても楽しみです！特にお気に入りのカップルが櫻井さんと歩美さんです。これからも頑張ってください！ (2018年9月15日 21時) (レス) id: a60a572cae (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - ジュンさん» 小悪魔黒服サン、少し淋しい事を伝えてましたが…そんな事にならないと良いですよねぇ…。激甘でも振り回されても良いとは…(確かに！と思ってる)楽しんで貰えて＆私も好きな話なのでホント嬉しいです！(*'ω'*)♪ (2017年7月18日 13時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - ぐちこさん» こんにちは！お待たせしてます(汗) 小悪魔さんが小悪魔してます♪彼の言葉選びは秀逸なので近付けられないのが心苦しいですが、するっと潜り込む術は私も欲しいです。そして私の所にも来て欲しいです(おい) (2017年7月18日 13時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - 小悪魔…なんか少し淋しい事言ってましたね。記憶を消されるような事がおきなきゃ良いなと思います。とにかくあの小悪魔君が決めたオンリーワンなので、激甘でもいい！色々と振り回されても大丈夫！とにかくこのお話大好きです！ (2017年7月17日 20時) (レス) id: 4c513d08fd (このIDを非表示/違反報告)
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