SUN <A> ページ27
◆SIDE-A◆
庭の樹の下にベンチがあるんだけど、
アレはオレの特等席なんだ。
ここだと、いろんな声が聴こえるし、
オレの話を聴いてくれるみんなもいる。
晴れた日は、
特にみんな、おしゃべりでさ？
曇りの日しか来ないコもいるから、
それも楽しみだし。
雨が降っても、濡れないようにしてくれるの、優しいでしょ？
雪が積もると、はしゃぐオレは叱られっぱなしだけど(笑)
そんなオレの特等席に、
最近よくAちゃんが来るんだ。
リーダーがお迎えに行ってから、なんか２人とも、ちょっと変なんだよね。
リーダーは前からAちゃんに優しかったし、困った時によく話も聞いてたみたい。
Aちゃんも、そんなリーダーに懐いてたから、色々教えてもらってたし。
オレの特等席に来るAちゃんは、ちょっと悩んでるみたい。
聞いても多分、オレ分かんないし。
Aちゃんも、聞いても言わないと思うから聞かないけど。
でも、Aちゃんには笑ってて欲しいし、笑ってたら楽しくなると思うんだよね。
暗い顔してるよりも、ずっと。
だからね？
そういう時は、
みんなに手伝ってもらうんだ。
今日は、晴れてる。
ほら、見て？
Aちゃんを励ましに、みんな来てくれたよ？「大丈夫？」って言ってるけど、聞こえる？
みんなの声、綺麗でしょ？
歌うとね、合わせてくれるんだよ？
あ、気付いたみたい。
顔上げてくれた。
歌に合わせて体動かすとね？
ほら、一緒に動いてくれるんだよ？
ん？『一緒に踊ってるみたい』？
そうなんだよ！一緒に踊ってるの！
ほら、木漏れ日も綺麗でしょ？
「ねぇねぇ！一緒に歌お？」
うん、て頷いて、手拍子もしてくれる。
キミは素敵だし、笑うともっと素敵だし、控え目に歌うけど声も綺麗なんだって言ったじゃん。
例えるなら、光みたいな感じ。
キラキラしてて、とても好き。
もし「声」が見えるようになったとしたら、それをビームみたいにしてみたいんだよね。
きっと空に向けたら、曇りの日だって、晴れに出来るんじゃないかって思うんだ。
真っ直ぐに向けたら、遠い向こうまで伸びてって、そこからキラキラが溢れたら世界もキレイだよ。
だからね？
キミの声を聴かせて？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 71人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
