「特級呪物の回収」５...Megumi side. ページ7
「神城先輩!? 先輩!! クソ、切られた……っ」
到着した目的地……杉沢第三高校の校舎から感じた尋常じゃない気配に、神城先輩との通話が終了される。
神城先輩の実力は、他の二年の先輩や担任の五条先生から聞いて“大まか”には知っている……だけど、実際に先輩が呪いと戦っている姿を目にしたことは一度も無い。
……それどころか、今回の件について神城先輩は先生から“戦闘ＮＧ”を言い渡されている。
「なぁ、大丈夫なのか!?」
「大丈夫なわけないだろ……神城先輩は呪いと戦う事を制限されてる人だ。許可が出ない限り、先輩は呪いと戦う事を禁じられている」
「じゃあどうすんだよ！ 俺の先輩も伏黒の先輩って人もヤベェじゃん!!」
俺が追っていた気配は“本体”ではなく、保管されていた箱に染み付いた
学校から離れた俺の代わりに先輩が“本体”を発見してくれたのは流石と言いたいところだが、この状況……先輩ひとりじゃ切り抜けるのは難しいはず。
後始末の事を考えて、世間的な一般人を巻き込む気は更々ない……俺は、一緒に現地へと来た虎杖悠仁に向き直る。
「オマエはここにいろ、部室はどこだ？」
「!! 待てよ！ 俺も行く！ やばいんだろ!?
「ここにいろ」
俺が“制止”を念押しすると、虎杖は静かに肩の力を抜く。
付いてくる様子は無い事を確認してから、俺はひとりで校舎の中へと足を踏み入れた。
俺は自分の居場所を伝えるよう窓ガラスや姿見へ合図を送りながら、神城先輩の姿を捜す。
虎杖に聞いた部室のある階まで上がった瞬間、微かに聞こえる甲高い悲鳴が無人の廊下に響いた。
「！ もう部室を出たのか！(相変わらず気配が滅茶苦茶だ！ 神城先輩はどこに居る!?)」
この悲鳴は神城先輩じゃない……という事は、虎杖の部活の先輩か。
きっと神城先輩も同じ場所に居る、たとえ居なかったとしても同じ場所を目指すだろう。
閉ざされていた扉を開いて渡り廊下へと出た先、まるで俺の侵入を阻むかのように、その呪いは立ち塞がってきた。
【ちゅーるちゅーるちゅる】
「チッ、邪魔だ。｢玉犬｣、喰っていいぞ」
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作者名：神屋之槭樹 | 作成日時：2023年4月16日 18時
