【呪術廻戦】徒然の世を君と共に。壱【30000hit超/♡1400超感謝！】 (ページ4)

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「特級呪物の回収」２ページ4

カツカツと鳴る、波紋が広がる世界を覗き込んで出口を探す。
私に居場所を伝える合図は常に一定で控えめで……。

「神城先輩、お疲れ様です」
『おまたせ、恵くん。呪いの被害者を家まで送り届けてたら遅くなった、ごめんね』
「いえ、俺は大丈夫です」
『……その様子だと、まだ見つかってないんやよね？きっと二人で探せば見つかるよ』

呪術高専の後輩である伏黒恵くんの合図を辿り、私は自分が派遣された任務先から“術式”を使って転移した。
恵くんが居る場所が学校という事もあってか、久しぶりに大きめな鏡(でぐち)を抜けたような気がする……転移の“術式”発動時の出入口が大きいと、呪力の消費が少なくて済むから有難い。
私の“術式”について特別詳細を教えたわけじゃないのに、恵くんは意図してか無意識にか、私が転移する際の合図には必ず、比較的大きめな鏡面を選択してくれていた。
本当に出来た後輩だよ、いつも助かっとります。

『それにしても……凄いね、この学校。あっちこもこっちにも呪いが居(お)る。日中でコレって相当やね』
「例の呪物のせいだと思うんですけど、そもそも気配がデカすぎて……」

“面倒臭い”と言わんばかりの彼が吐いた盛大な溜息に、私自身も同意の苦笑が漏れた。

『探し物は、きっとこの学校内にあるよ。誰かが百葉箱から持ち出したと仮定して、まだ敷地の外には出てないっぽいから、時短のために手分けして探そっか』
「！分かるんですか？」
『分かるっていうか……ここに来てから刀(コレ)が強く反応してるで、ほぼ間違いないはず』

そう言いながら、背負っている肩掛けの竹刀袋に視線を向けると……恵くんは何とも言えない表情を浮かべた。
……そんな顔しんといてよ、五条先生に言われてるし、絶対に抜かんから。
私が持ち歩いているこの特級呪具(・・・・)は、この場所に来てから常に騒めいている……これだけ強い“探し物”の気配に反応しているのか、もしくは……。

「神城先輩は、“術式”と相性の良い校舎内をお願いします。俺は校庭やグラウンドを探します」
『うん、分かった。何か異変を感じたらすぐ連絡で』

部活の活気で賑やかなグラウンド方面へ歩いていく恵くんの背中を見送ってから、私も静かに校舎の中へと足を踏み入れた。
“特級呪物”の回収……何事もなく、無事に終わるといいんやけど……。