【呪術廻戦】徒然の世を君と共に。壱【30000hit超/♡1400超感謝！】 (ページ17)

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「両面宿儺」６ページ17

【だからどうという話でもないが。やはり、｢黄泉｣に勝る相手はない……】

抑揚のない声音で吐き出された言葉は、目の前に広がる光景に消えていった。

「７、８、９」

奴が弾き飛ばした場所で、五条先生は無傷のまま……ひとり静かにカウントを数えている。

「そろそろかな」

約束の10秒。
目の前に立つ“ソレ”の纏った空気が、一瞬で変わる。

「おっ、大丈夫だった？」

……先生が、時間式の一戦を望んだ理由が分かったかもしれない。
ケロッとした様子で声を発した虎杖くんに、私はひとつ息を吐く。

「驚いた。本当に制御できてるよ。詠子、そっちは無事？」
『……うん。刀も、静かになった』
「そっか」

奴の気配が引っこむと同時に、手に持つ刀からも気配は遠退いていった。

「でもちょっと、うるせーんだよな。アイツの声がする」
「それで済んでるのが奇跡だよ」

虎杖くんの額に軽く指を置く。
すると彼は一気に脱力し、意識を飛ばした。
その身体が地に落ちる前に、先生は片腕で軽々と抱き留める。

「何したんですか」
「気絶、させたの。これで目覚めた時、宿儺に体を奪われていなかったら、彼には器の可能性がある」
『それって……』
「さて、ここでクエスチョン。彼をどうするべきかな」

先生のその質問は、事態を目の当たりにした私達への選択肢。
私の脳裏を過ぎったのは、屈託のない、彼の笑顔……。