【呪術廻戦】徒然の世を君と共に。壱【30000hit超/♡1400超感謝！】 (ページ12)

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「両面宿儺」１...No side. ページ12

伏黒恵が恐れている(・・・・・)のは、自分を殺そうとしている呪いではない……一般人(・・・)の虎杖悠仁が、その体内に取り込んだ特級呪物による、影響。
耳にダイレクトに届けられる脈拍を感じながら、伏黒は自分の目の前に立つ虎杖から目を離せないでいた。
変化した気配に何かを察したのか、呪いが奇怪な声を上げながら間近に迫る。

(特級呪物だぞ!? 猛毒だ!! 確実に死ぬ!! だが万が一、万が一……!!)

彼の願いは、ただひとつ……。
止まっていた時がゆっくりと動き出すかのように、目の前の“男”は……その右腕を“軽く”振りかぶった。
瞬間、呪いは頭部から吹き飛び、そのまま崩れ落ちる。

【ケヒッヒヒッ】

伏黒は、静かに目を見開いた。
目の前に居る“男”は、虎杖悠仁ではない……虎杖悠仁の姿をした、別の存在。

【ああ、やはり!! 光は生で感じるに限るな!! 呪霊の肉などつまらん！人は！女はどこだ!!】

最悪の“万が一(・・・)”が、出てしまった。

(特級呪物が、受肉しやがった!!)

その存在を脳が認知した瞬間、伏黒の中に“死”の文字が湧き上がる。
虎杖の姿をした“男”は邪魔だと言わんばかりに上着を引き千切りながら、辺りの気配を探るようにして視線を宙へと這わし……そっと目を細めた。

【いい時代になったのだな。女も、子供も、蛆(うじ)のように湧いている。素晴らしい、塵殺(おうさつ)だ】

今にも殺しへと飛び出して行きそうな“男”に、伏黒の身体は動かない。
……しかし、“男”の動きはピタリと止まる。

【……あぁ、やはりそうだ。俺が“この気配”を間違うワケがない！】
『がッ……!!』

“男”は自身が捉えた気配に口端を上げると、奇襲を仕掛けてきた神城詠子の横腹を殴り飛ばした。