猟奇的なキスを私にして (ページ3)

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third kiss ページ3

南野「ずっとこんなんなん？フラッフラやないですか」

「あなたにはわかりません」

南野「いい加減にしてください。今日誰の取材？多分フォルランさんやろ？」

「…関係ないじゃないですか」

あるわ。バカ。
こんなんほっとくか。
自分大切にしなさすぎやろ

南野「仕事なんやから、体調管理も仕事のうちです。そんな顔色、フォルランさんも心配しますわ。選手のこと考えてください」

ハッとして、うつむいた
仕事意識の高いAのことやから、こう言えば納得してくれると思った
案の定この言葉が身に染みたのか、黙ってる

南野「これ、飲んでください」

スポーツドリンクを差し出すと、やっぱ黙って受け取る

南野「Aさん開け方わからんの？笑」

おどけて言ってみた

「……っわかります！」

チラッと俺を睨んで、思いっきりドリンクをがぶ飲みし始めた

なんやこの人
おもろいなぁ……
綺麗なだけやなくて、負けず嫌いなんやな。
こんな感情に左右されやすいなんて、思ってもみなかった

つい最近スイスへ移籍した曜一郎君を思い出した。似てるな。なんか

「どうぞ！ありがとうございます！！」

ガバッと立ち上がって、俺に空のドリンクを押し付けた

南野「急に立ったらフラつきますよ？」

「…ありがとうございます」

ヒールの音を立てて、いつものような完璧なAさんに戻った
鎧をつけた、強気で綺麗なAさんに

後ろ姿を見ながら思った
俺、とんでもないことしたなって
もう一生Aさんと話せへんかもしれん
呆れてしもたかもな

いくらでもおんねん
Aさんに声かける人なんか。Jリーグの世界に何人でもおんねん
もしかしたらJリーグに限らんかもしれんな
いやそうやろな
通訳者ってなんでもできんもんな

でもあの時勇気出して良かったって思った
Aさんはそのことを大事にしてくれてた

素直じゃなくて、表現がうまくできないだけ。
それだけなんや
Aさんは喜んでくれとった

俺なんかに、喜んでくれとった