「好きだよ」 (ページ1)

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51話　side-mm ページ1

「まずラウールのことだけど、ほんとにこいつはただの友達。それ以上でもそれ以下でもないよ。
こいつと付き合うなんて考えられないし考えたくもない。
ラウールと出会ったのは、高1の今ぐらいの時期かな。
康二くん、ラウールの彼女ポジを狙う人たちが今でも後を絶たないこと、知ってるよね？」
kj「うん、知ってる」

「ラウールって入学当初から同学年にも先輩たちからも認知されてた存在だったらしいんだけど私知らなくて。
康二くんは知ってた？」
kj「知ってた。金髪で足長くて整った顔してるから入学式の前からすでに目立ってたよ」
ru「え～そんなに言われると僕、照れるなあ～」

「私高1のはじめから顔隠してたからクラスに友達なんていなかったし同じ中学の人がいない学校選んだからずっと1人で。
授業は真面目に受けてなかったし、10分休憩とかはトイレとか人気の少ないところで時間を潰してたんだ。
お昼も誰も来ないようなところで食べてて」
私はここで話を区切るとラウールを見た。
「ラウール、言ってもいい？」
まだ誰も気づいてないあの場所のこと。
『ここはいつも僕達の貸し切りみたいなもんだよね！』ってラウールが言ってた貯水タンクの横。
目でラウールにそう伝えると、ゆっくりと頷いた。

「特別教科棟の屋上にある貯水タンク、わかる？」
kj「…うん。わかる」
「いつものようにそこでお昼食べてたんだけど、そこにラウールが来たんだよ。
『匿ってください』って頼まれたんだ。
話を聞くところによるとタチの悪い2年生が昼休みになると、ラウールと一緒にお昼を食べたいがために毎日の様に追い回されてるらしくて。
その時ラウールのことなんて1ミリも知らなかったけど、困った顔をしてたから助けたんだ。
やっぱり2年生は屋上に来たけど貯水タンクまでには気が回らなかったみたいですぐにいなくなったけどね。
…ラウールとはこれっきり会わないつもりだったんだけどなんかなつかれちゃって。ラウール曰く『僕のことを知らなかったっていう人っていたんだ』って思ったみたいでね。
いきなり人の心にずかずか入ってくるし怖かった。
でも、こんな見た目のやつに話しかけてくれるんだとも思ったよね。
で、仲良くなったあとすぐにラウールが校内で超有名人だって知って慌てて約束したんだ。
『誰かが目黒連と口に出しても他人のふりをする』って」
kj「何でそんなことするん？」