放課後ノート 2nd【赤葦京治】

47 得手不得手 ページ21

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「A、教室でいい？」

「うん！大丈夫」



放課後になって
教室に残る人もいれば
足早に帰る人もいる。


一週間前ともなると
みんな気合いが入るよね。


教室を見渡しながら
そんなことを考えていたら。



「じゃあ机くっつけよう」

「あ、そうだね」



席が前後で良かったかも。


自分の机をガーッと動かして
京治の机にコツッとくっつけた。


２人同時くらいで席について
机の上に筆箱やノートを準備する。



「京治、あの…」

「ん？」

「数学得意？」

「…得意ってほどじゃないけど、まあ…ある程度はわかるかな」

「わぁ…やっぱり京治は頭がいいんだね…！」

「いや、そんなことないと思うけど…で、どうしたの？A数学苦手？」



頬杖をつきながら
ちょっとだけクスッと笑った京治。



…あれ、向かい合わせって

よくよく考えたら
今まであんまりなかったし

結構恥ずかしいかも。



なんて思いながら、コクッと頷く。



「そうなんだ。俺がわかるところなら教えてあげられるよ」

「…お願いシマス」

「ふっ…、了解。…Aは何が得意？」

「えーっと…うーん、得意な教科ってないんだけど、あえて言うなら英語はまだわかる」



…逆に言えば
安定して点が取れるの
英語だけなんだけどね。



頭が良いであろう京治の前で
こんなこと言ったら笑われるかな…


と考えてはみたものの
もう言ってしまったし。


ちょっとした恥ずかしさから
頭をポリポリ掻いていたら。



「じゃあ俺、Aに英語教えてもらおうかな」



その言葉に、掻いていた手を
ピタッと止める。


いやいや…私が京治に？
教えるなんて滅相もございません…



「いや、私教えられるほどではないから…」

「くっ…、大丈夫。俺だって上手く教えられるわけじゃないし。それに教え合いながらやった方が、お互いに覚えるよ」

「そうかなぁ…」

「うん。きっとそう」

「……じゃあ、私がわかるところでよければ…」

「ありがと」

「私こそありがとう。本当に数学わからないの…応用問題とか苦手で！」



じゃあまずは数学からやるか、と呟いた京治。
私も、うん、と返事した。



好きな人と２人で
放課後残って、テスト勉強…


１年前なら考えられなかったな。


…私ここ最近で
すごく京治と仲良くなってるんだ。



嬉しいな。



勉強はあまり好きじゃないけれど
京治と２人なら、頑張ろうと思えた。






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