放課後ノート 2nd【赤葦京治】

42 書きたい、書けない ページ14

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黒尾さんと別れ
家に帰ってきてからは
黙々とノートを写していた。


…今日も付箋貼っていいのかな？


と、一瞬迷ったけど
やっぱり毎回していることだから
今更貼らないのもなんかな、と思い


写し終えたノートに貼るため
付箋を筆箱から取り出す。



ありがとう、と
いつも通り書いたところで
ふと思った。


…私がもし告白して
万が一、京治と付き合えたとしたら。

先輩たちの言葉なんて気にせず
堂々としてもいいのだろうか。



…………



ドキドキして
シャーペンを持つ手に力が入る。

でも

付箋にシャーペンの芯をつけたところで
ピタッと止まった。



…私に、そんなことする勇気はない。



第一、フられてしまったら
もうノートを借りることもできなくなるかも。



ありがとう、のあとに
好き、と書こうとした手を、そっと下ろした。


伝えたいような
伝えたくないような。


いつも以上に勇気が出せず
かつ臆病な自分に、ため息が出る。


結局、ありがとうの５文字だけ書いた付箋を
京治の名前の横に貼り付けて
忘れないように、カバンの中へ。


ちょうどそのとき
下からお母さんの声が聞こえて


ご飯を食べるために、部屋をあとにした。



─────
───



お風呂も入り終わって
部屋に戻ったとき。


机の上に置きっぱなしにしていた携帯が
チカチカと光っていた。

メッセージが来てることを知らせる色。


そういえば携帯持って下りなかった。
特にいじらずに下でテレビを見ていたから
気にしてなかったな、と思いつつ


ボタンを押して、画面をつける。



…あ、京治だ…



表示すると。



京治A、今日は
ノート持って帰ったの?


Aうん。ごめんね



携帯で連絡を取るなら
誰にもバレないし、良いかな…なんて
ちょっとズルいことを考えた。



京治いや、大丈夫だけど…めずらしいね



…すぐ来た返事。
なんて返そう。


まさか、先輩にいろいろ言われて
やる気がなくなった、とか
言うわけにはいかないし。



さんざん悩んだ末に
今日は黒尾さんと会ったな、と思い出し

元々この予定だったということにしよう
と思って、京治に返事を打つ。



A今日はちょっと黒尾さんと
約束があってすぐに帰ったんだ。
もう写したから、明日には返すね!



理由を付けるならこれしかない。
嘘ではないしいいか、と思い
送信ボタンを押した。





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