最後の約束９ ページ44
雅紀side
外はどんどん暗くなっていって
窓からは月がクッキリ見える
星も所々見えていて…
小学生の時に見た星空を思い出していた
雅「ねぇ、潤…？」
潤「なに…？」
雅「思い出話、してもいい？」
潤「…やだ」
雅「いつまでも逃げてちゃ、慎に怒られちゃうよ？」
潤「……」
黙り込んだ潤は
ベッドの上で膝を抱えて小さくなった
寂しかったり、怖かったり
不安になった時にする潤の癖
小さい頃から変わらない癖
雅「じゅーん？」
潤「…いい、…やだっ」
顔まで埋めてしまって
やっぱ重症だな、とため息をつく
そっと近寄って、隣に座る
更にぎゅっと腕に力を込めた潤
潤「やだ…、しない…っ」
雅「大丈夫だって。慎は怒ってないよ」
潤「…がう、ちがう」
雅「違くないよ？慎は潤のお兄ちゃんだよ？この事実は変わらない」
静かな部屋に潤の荒い息遣いが響く
本当は慎のこと大好きなくせに
自分から話題を遠ざけていた
その名を口にすることも無くなった
雅「慎ね、言ってたよ？“オレが潤を助けられない時は守ってやってね”って。慎から直接、お願いされたんだよ？」
潤「慎に、が…？」
雅「潤のこと嫌いだったらさ、そんなこと言わないでしょ？」
本当は潤もわかってる
でも事実として受け止められないだけ
大きな事実を受け入れるだけの器が無かったから
でも今は違う
もう何年も経って、
子供の年齢ではなくなったから
高校生になったから
新しい高校生活はさ、
何も抱えずに過ごしてほしいから…
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作者名：雅宗 潤美 | 作成日時：2017年10月4日 19時
