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「とっとと吐きやがれ、俺達も暇じゃねぇんだよ」
「だーかーら!何もやってねェっつってんだろ!!」
「そうなんですかィ、嬢ちゃん」
「……そこのオジサンに白い液体を体中にかけられた、だけ…」
「クソガキ言い方考えろよ!!」
真選組屯所の取り調べ室にてこんなくだりがもう数時間にわたって行われていた。
未成年淫行疑惑の被疑者の坂田銀時、被害者の少女、重要参考人の志村新八と神楽。相対するのは真選組局長近藤勲、副長土方十四郎、一番隊隊長沖田総悟。
「いつか…いつかやると、思ってました…」
「オイ神楽ふざけてんじゃねぇぞ!!テメェもみてたじゃねェか!!」
「確かに見てたアル、変態の姿を」
そんなやり取りを尻目に土方は被害者の少女に目を向ける。その少女は、少し妙な少女だった。
銀髪である銀時よりも真っ白な髪は毛先だけ薄桃色に染まっており、瞳は薄い鼠色。その容姿も然ることながら、様子がそこらの子供とは違うのだ。
ニコリとも、泣きもせずずっと無表情を保ち続けている。土方はこの少女と出会ってから表情を崩した瞬間を見ていない。自らが招いた状況であるにも関わらず、ほとんど口は開かず言葉を発したとしても小さな声でポツリと一言二言話すのみ。
だが報告書は書かなければならないので、会話をしなければならない。元より子供が得意ではないことに加え少女の異様な雰囲気に面倒だという気持ちになつつもガシガシと頭を掻いた後声をかけることにした。
「なぁお前、名前は?」
「…ことは」
「歳はいくつだ?」
「…たぶん、6歳くらい」
その受け答えに、少女の話を聞いていた者は少しの違和感を覚えた。生活に困っている者で名字が無い者や年齢がわからない者は世の中にごまんといる。しかし少女が着ていた着物は薄桃色のしっかりとした生地の物であり、生活に困っている家庭にいるようには思えないからだ。
だがあまり深く考えずにとりあえずと報告書に名前と年齢を記載した土方の手元をチラリと見て少女はもう一度口を開いた。
「…漢字、」
「あ?」
「言葉って書いてことはって読む。名前…」
「お、おう、そうか。ありがとよ」
どう考えても6歳前後とは思えない受け答えに、土方が少し深く突っ込んで問いかけようかとしたその時。
「…おまわりさん」
「なんだ?」
「痴漢、は嘘…です」
少女…もとい
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作者名:木月 | 作成日時:2021年2月23日 15時