ななわ ページ7
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「...み、見逃してください」
観念してそう呟く。
もうこの状況から逃れる方法がない。リオウさんの胸板を押す力を緩め、俯いた。
バカみたいだ。何のために今まで真面目に生きてきたのだ。こんなことになるなんて。
今の私に出来るのは惨めったらしい台詞を吐くだけだ。
「こんな、訳の、分からないことで...ッ。台無しになるなんて、いや、です」
涙が零れ落ちていた。自分の手を握りしめて必死に唇を噛みしめた。
放課後友達と遊ぶことやSNSを始めること、趣味を楽しむこと、全部全部犠牲にした結果がこれだ。
全ては期待に応える為。必死に耐えてきた。
身に覚えのない事で、すべてが無駄になる。一流の大学に行かなければ、私は生きている意味があるのだろうか。
「…降ろしてやれ」
低い声でそう言ったのは銀色の髪を持つヤクザさん。
ふと顔を上げると、ばつが悪そうな顔でこちらを見つめているヤクザさんと目が合った。煙草を唇から離し、細い煙を静かに吐き出す。
すとん、と靴の底が地面に着いた。開放感が身を包み、私は思わず微笑んだ。
「失礼しましたァァァァァァ!!!!!」
右向け右。
そう大声で叫んで私は思い切り駆け出した。泣き落とし作戦がまさかヤクザさんの心を打ちぬいたのだ。
そう、確かに悲しかった。
しかし、同時にそれを上回る感情が私の心の大半を占めた。
ふざけるな、と。
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リドルの妹になりたかった願いから生まれた夜月です嘘です。 - ふぅぅ………… …すき。 (2021年1月10日 1時) (レス) id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
まま松2(プロフ) - ルイさん» お待たせしてしまって申し訳ありません、続編の更新の準備が整いましたのでぜひ見てください! (2020年1月15日 20時) (レス) id: 6dc6009444 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - この作品大好きなので、続編を作って頂けるなんてとても嬉しいです(#^.^#)楽しみにしています^^ (2020年1月5日 9時) (レス) id: 7f74208646 (このIDを非表示/違反報告)
まま松2(プロフ) - あこさん» ありがとうございます!楽しみと言って頂けて良かったです!無理せずバンバン更新していきたいので、応援宜しくお願いします! (2019年12月31日 12時) (レス) id: 8fb33f3543 (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - 次の更新が楽しみすぎてヤバいです!!!((((*゜▽゜*))))無理せず更新頑張ってください(っ´ω`c) (2019年12月31日 2時) (レス) id: 8776df8bdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まま松2 | 作成日時:2019年8月19日 20時