さんじゅうご ページ35
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「それでは行ってきます。貴方も連れていきたい所ですが同居人の伊弉冉一二三は女性恐怖症なので…。ここで待っていてください。」
「分かりました」
そう念を押して銃兎さんは運転席を出た。そう言えば今日は勉強してないな…なんて思っていると助手席の窓ガラスがコンコンとノックされた。
不思議に思い窓を開けるとにゅ、と手が伸びてきて私の頬に触れる。
銃兎さんだ。
「…あの?」
「もし逃げたら…足腰立たなくさせますからね。」
ぞくり、と背中に変な感覚が走った。それもこれも、妙に漂っている色気のせい。
ドキドキしながら顎を軽く引いて頷くと、満足そうに笑いながら私の頭を撫でる。
あぁもう!
異性どころか同性との接触が少ない私には分からないが、この距離感は普通なのだろうか?
背中を見送りながら悶々としていると、その後を直ぐに見覚えのある赤い髪のくたびれたスーツを着た男な人が歩いていた。
…あれは、観音坂独歩さん?
暗闇な中じっと目を凝らしていると…その人物が糸が切れた人形のように倒れ込んでしまった。
「えっ?!だ、大丈夫ですか?!」
慌ててシートベルトを外し、社外に出てその人に駆け寄る。緊急事態なので見逃して欲しい。
壁にもたれて掛かるようにして体を伏せる観音坂さんと思われる人に声をかける。
真っ青な顔をした彼はやはり社員証の持ち主で、口からは嗚咽を漏らしていた。
あのハゲ課長死ね…などと物騒な事が聞こえてくる。
「あの、観音坂さ…きゃ?!」
あまりに強く揺さぶったせいか、彼の体がこちらにグラりと傾いてきた。
慌てて正面から抱きとめる。あまりの重さに倒れかけたが、なんとか踏ん張る。
抱きしめあっているような感じになってしまったが、手を離す訳にも行かず声をかけ続けたのであった。
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リドルの妹になりたかった願いから生まれた夜月です嘘です。 - ふぅぅ………… …すき。 (2021年1月10日 1時) (レス) id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
まま松2(プロフ) - ルイさん» お待たせしてしまって申し訳ありません、続編の更新の準備が整いましたのでぜひ見てください! (2020年1月15日 20時) (レス) id: 6dc6009444 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - この作品大好きなので、続編を作って頂けるなんてとても嬉しいです(#^.^#)楽しみにしています^^ (2020年1月5日 9時) (レス) id: 7f74208646 (このIDを非表示/違反報告)
まま松2(プロフ) - あこさん» ありがとうございます!楽しみと言って頂けて良かったです!無理せずバンバン更新していきたいので、応援宜しくお願いします! (2019年12月31日 12時) (レス) id: 8fb33f3543 (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - 次の更新が楽しみすぎてヤバいです!!!((((*゜▽゜*))))無理せず更新頑張ってください(っ´ω`c) (2019年12月31日 2時) (レス) id: 8776df8bdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まま松2 | 作成日時:2019年8月19日 20時