じゅうきゅうわ ページ19
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横浜からおよそ40分電車に揺られ、ようやく池袋駅まで着く。
通勤ラッシュにもまれながら、いくつもある出入口からようやく抜け出した。
…駅の構造は変わっていない。
電車に乗っている時も思ったが、景色とかは私の住む世界と同じだ。
…しかし気になる点が1つ。
電車や駅のポスターや広告には女性政治家ばかりで男性の姿が見えない。
言の葉党など、聞きなれない政党もあった。
「政治とか、そういうのがまるで違う…。」
パラレルワールド説が濃くなったが、決めつけは良くない。
私は自分の家がある方向へと歩き始めた。
……
「…はぁぁぁぁ」
結論から言えば、私の家はなかった。
私の家があった場所には別の家が経っていて…。別の家族が笑いあっていた。
「なにこの世界…」
滑り台しかなく、閑散としている小さな公園のベンチに座り込み呆然とする。
元の世界に帰れる保証は?戻れなかったとして、絶対両親に迷惑かけるよね、通帳は?保険証は?戸籍は?
入間さんだってずっと私の面倒を見る訳には行かない。きっと警察に連れてかれて、保護されるんだろうな。
真面目にやって、友達もつくらず、勉強しかしてこなかった結末がこれか。
大学、きっとダメなんだろうな。
こんな時まで大学の心配なんて、我ながらなんて寂しい人間なんだろう。
「っさいあく」
じわりと涙が浮かんだ矢先。
「にゃあ」
「…あ」
可愛らしい声が足元から聞こえ、そっとそちらを見る。涙で滲んだ視界の中、つぶらな瞳をしているサビ猫がいた。
ひょいと身軽にベンチに飛び上がった猫は、私の膝でまるまる。
「慰めてくれるの?」
「にゃうん」
「ありがとう」
猫にはそんなつもりは無いだろうが、膝の上にある暖かみに思わず頬が緩んだ。
「ふふ、かわい…」
「あーーーーーー!!!見つけたよ、一兄!!」
「?!」
ずさっと砂嵐を巻き上げながら、1人の高校生ぐらいの男の子がこちらを指さしながら叫ぶ。
ひ、と思わず声が出た。膝で丸まっていた猫もびくんと身を固くする。
「でかした二郎!今そっちに行くからな!」
「くそ、低脳ごときに遅れをとるなんて…!」
続いて少し遠くから2人の男性の声。
もしかして、大ピンチ?!
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リドルの妹になりたかった願いから生まれた夜月です嘘です。 - ふぅぅ………… …すき。 (2021年1月10日 1時) (レス) id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
まま松2(プロフ) - ルイさん» お待たせしてしまって申し訳ありません、続編の更新の準備が整いましたのでぜひ見てください! (2020年1月15日 20時) (レス) id: 6dc6009444 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - この作品大好きなので、続編を作って頂けるなんてとても嬉しいです(#^.^#)楽しみにしています^^ (2020年1月5日 9時) (レス) id: 7f74208646 (このIDを非表示/違反報告)
まま松2(プロフ) - あこさん» ありがとうございます!楽しみと言って頂けて良かったです!無理せずバンバン更新していきたいので、応援宜しくお願いします! (2019年12月31日 12時) (レス) id: 8fb33f3543 (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - 次の更新が楽しみすぎてヤバいです!!!((((*゜▽゜*))))無理せず更新頑張ってください(っ´ω`c) (2019年12月31日 2時) (レス) id: 8776df8bdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まま松2 | 作成日時:2019年8月19日 20時