執事さん、心臓に悪いです。【名前変換オリジナル】 (ページ2)

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執事が1人ページ2

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　少し暖かい感触で目が覚めた。今日は布団が温かかった。何故か、子猫と寝る夢を見るぐらいだ。隣を見ると、マコト。

「――ッ!?」
マコトは水玉のパジャマを着て艶(つや)のある自慢“らしい”髪を枕にこすりつけ、気持ちよさそうに寝ている。それが寝起きのAをイライラさせた。

「起きろ! このバカ執事!」
そう叫びながら、マコトの腹に拳を鎮める。マコトは「ふぁ!?」と、変な声を漏らし、涼しい顔でAを見る。

「お早う御座います、お嬢様。昨日はよく眠れましたか?」
その涼しい顔がムカつくから顔面にもう1発拳をめり込ませる。

「お嬢様、痛いです」

「マコトが悪い」
マコトをつまんで部屋から追い出す。今から着替えるのに覗かれるなんてたまったもんじゃない。

「入ってくんなよ」

「手伝いましょうか?」

「ふざけんな!」
そう言って外に居るマコトにクッションを投げつける。マコトは見事にそれを抱きしめた。

「お嬢様……そんなツンツンしなくても良いのですよ?」

「ツンツンなんてしてねぇよ!」

　着替えが終わり、ダイニング・ルームに向かうとマコトが優雅に紅茶を運んでいた。

「お嬢様、御着替えは済みましたか。席に着いて下さいね」

「分かってるよ、んな事」
少しふてくされたような声でマコトに反応する。まだ、朝の事で根にもっているのだ。

「お嬢様、笑顔で居て下さいね。お可愛い顔が台無しですよ」

「うるさいなぁ、これでも笑顔だよ!」
口角をあげ、笑みを浮かべる。鏡を見なければ分からないが、きっと不細工な顔をしているのだろう。見えないAでも分かっている事なのだから。

「お嬢様、そんな不細工な顔しないでください。今から勉強の時間なんですよ」
「煩いなぁ、分かってるって」

　ナイフとフォークを持ち、出された料理を口に運ぶ。それをみて、マコトは少し眉毛を下げ、Aの手を掴んだ。

「お嬢様、マナーがなっていませんよ。旦那様に怒られてもいいのですか?」
マコトの吐息がフッとAの耳にかかる。それを感じ、Aは反抗期の子供のようにスプーンをマコトに投げつけた。

「煩いなぁ! 私の母様じゃないでしょ!」
そう言い捨てて、ダイニング・ルームをずかずか出て行く。

(もっと、素直になれたらいいのにな……)