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無残な姿のタカミを確認したのか、クラスメイト全員が悲鳴を上げ、黒板の方へ移動する。一部の生徒は泣き叫び、近くの生徒にしがみ付いていた。
(大丈夫、こんだけ大きな声が上がれば、きっと他の先生が助けに来る)
そう考えながら、必死に足の震えを落ち着かせるが、身体からは嫌な汗が吹き続ける。
タカミの生死を確認する。少年が旗を楽しそうに動かす度、指がぴくぴくと牽連している。目を刺されているが、まだ息はあるみたいだ。
少年は無邪気な笑みを浮かべ、旗の先端を引き抜いた。ぐちゃりと音がして、タカミが前のめりに倒れる。少年はそれを掴み、休む間もなく何度も腹に旗の先端を突きさす。突きさす度に、タカミの口からは血が溢れ出し、空洞になった左目からは真っ赤な涙を流す。そして、何度か繰り返した後、そのまま動かなくなった。
死んだことに気付いてないのか、少年は「きゃはは」と笑い、旗の先端を刺し続ける。
それをみてか、クラスでもお調子者のカイトが胃の内容物を全て床にまき散らかした。――いつもだったら「うわぁ、吐いたの」「大丈夫?」の言葉が飛び交うが、今は悲鳴だけが飛び交っている。
「なぁ、早く学校から出て行った方が良い!」
学級委員長のシュンが皆に向かい、叫ぶ。いつもなら少しの事で動揺しない――所謂、格好つけているのだが、足が少し震え、涙目になっている。
少年は、まだタカエの解剖を楽しんでいる。逃げるなら今の内だ。
前のドアから競うようにしてどんどんと出て行く。
廊下は「あんなことが本当にあったのか」と思わせるほど静かだった。
「逃げた、のか……」
呆気にとられ、呆然と立ちすくむ。逃げたにしても、可笑しい点が多々ある。タカミが死んだのに、パトカーも救急車もいない。それに、いくらなんでも静かすぎる。
まるで、世界が死んでしまったかのように――……。
その場で数秒ぐらい皆固まっていた。きっと同じことを考えているのだろう。――だが、その空気は一瞬にしてアリスに打ち砕かれた。
「おいっ、アイツが来たぞ!」
アリスが指した方向を見ると、少年――いや、殺人鬼がドアから顔を出した。
殺人鬼は体育祭の時に、旗と一緒に貰った優勝トロフィーを掴み、けたけた笑っている。
「カリナ、逃げるよ!」
モモがカリナの腕を掴み、必死に走る。――だが、100m 20秒のカリナがモモのスピードについていける筈が無い。
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霜月白雨@我々ハマったw(プロフ) - 谷崎小夜さん» コメント(´▽`)アリガト! あぁ、直さんとな……このままチャット続くんだったらしらたま掲示板いかへん? (2017年10月19日 19時) (レス) id: c62dc48e07 (このIDを非表示/違反報告)
谷崎小夜 - よくよく見ると、ダイキ→タイキになってるぞ。 更新ありがと!今回も良かったっす(´・ω・`) (2017年10月19日 19時) (レス) id: 0c4ef10cf1 (このIDを非表示/違反報告)
霜月白雨@我々ハマったw(プロフ) - 谷崎小夜さん» 君はあの……! 有り難う!! きみきゃわうぃーね☆ (2017年10月18日 7時) (レス) id: c62dc48e07 (このIDを非表示/違反報告)
谷崎小夜 - すごくいい!臨場感が伝わってきたよ。面白い! (2017年10月17日 23時) (レス) id: 0c4ef10cf1 (このIDを非表示/違反報告)
霜月白雨@地味に傷ついたw(プロフ) - 桃色レイカンさん» コメントありがとうございます! そう言って貰えると嬉しいです!! CSSですね! はい! 更新頑張ります!! コメントありがとうございました!! (2017年10月7日 14時) (レス) id: c62dc48e07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜月白雨 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年10月6日 19時