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六頁目◇ 〜花園〜 ページ9

「お兄様、見て下さい! 上手にできました」

「そうか、偉いな」
編み込んだシロツメグサ。その形は冠のようになっていて、女の子が好きそうなものだ。

「上手にできたな」
もう、青年と呼べるであろう年頃の中也は帽子を深くかぶり、Aの頭を撫でた。その中也の表情は柔らかく、美しく微笑している。

「これ、お兄様にあげる! 大事に取っておいてね!」

「流石に枯れちまうなァ」
Aは背伸びをし、帽子の上からシロツメグサの冠を被せた。被せられた時の中也の表情はとても嬉しそうだった。

「ありがとな」

「いいえ、お兄様の為ですから!」
こんな微笑ましい状況、この兄妹には後にも先にもなかった。中也はマフィアの仕事で龍頭戦争に駆り出され、Aは年齢的に待っているしかなかった。

 待っているときは、孤独しかなかった。独りで花園に行ってもつまらないし、外に出ても銃弾の音が鳴り響いているだけ。そんなのなら、出ない方が善い。そう考えたのだ。

 龍頭戦争が終わった後も、中也は怪我だらけで帰ってくることは少なくなかった。汚濁を使い、死にかけた時も、傷が大きく、医務室に運ばれた時も、何時もAは見守っていた。

 マフィアの皆も、Aについて特別悪いことを言う事なんて無かった。


 なのに、何故嫌われているの――?

 判らないんだ。自分の頭では。

 思い出しては何度も何度も考えた。結局、それに見合う答えは出てこなかった……。

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霜月白雨@狂人(プロフ) - 華さん» 申し訳ございません。消されてしまったようです。 (2018年5月1日 19時) (レス) id: c62dc48e07 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 認めてもらいたい(前作)が読めません。題名、この話の内容、コメントから察するにこれの夢主視点でしょうか?このお話すごく好きなので読んでみたいのですが…… (2018年4月7日 11時) (レス) id: 198a7174c6 (このIDを非表示/違反報告)
霜月白雨@実況者沼、ハマり中。(プロフ) - みゃにゃさん» 元気ですよ! 有り難うございます!! (2017年9月19日 6時) (レス) id: c62dc48e07 (このIDを非表示/違反報告)
みゃにゃ - げんきそーでようたw(´・∀・`) (2017年9月19日 5時) (レス) id: a23cd4a964 (このIDを非表示/違反報告)
霜月白雨@実況者沼、ハマり中。(プロフ) - 汚濁さん» 有り難う!! そう言って貰えると嬉しいよ!! (2017年9月18日 20時) (レス) id: c62dc48e07 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜月白雨  | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年6月18日 1時

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