【刀剣乱舞】ブラック本丸の新しい審神者は一期一振の娘でした【弐】

58.戦況 ページ18

−−アイツが、謀反を起こした加州清光。


側では男審神者が真剣な顔で少女の近況報告を聞いている。


国によっては審神者は千人近くいるため、同じフロアの中でも人数毎に部屋は分けられているのだが、たまたま少女と男審神者は同じ部屋に当たったようだった。


清光は、今日でお前の刃生終わりだぜ、ざまあみろ、と言わんばかりの視線を加州に向けた。


加州はその視線を知ってか知らずか、目を瞑って、清光を見ることは無かった。


暫くして少女の報告が終わった。



加『…主、あそこ。』



清光はそっと、少女に耳うつ。


少女は清光の言いたいことを理解して、一瞬だけ加州に視線を向けた。


少女の視線に気づいた男審神者が、軽く会釈した。


主が会釈したのを見て、加州もようやくこちらを見るが、気まずそうにまたすぐ目をそらした。


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近況報告ののち、戦況の確認。


審神者の熟練度により、任される時代の幅は変わる。


少女は現在最前線とされている延享時代の攻略にも深く携わっており、室内の中堅・初心者層から多くの質問を受けていた。


それは男審神者も同様で、少女と同じく十年選手の彼も、未だ攻略に至っている審神者の頭数が少ない、延享時代を請け負っていた。



男｢あそこは生半可な練度ではまず間違いなく敗北します。

正直、現状では練度が上限間際の太刀や大太刀、練度が中堅の極短刀で、全員傷を負う覚悟でゴリ押す事しか、こちらに手立てはありません。｣



それ故に、長く審神者をやっている者でも手入れに手入れを重ねて何度も攻め入るしか、遡行軍に勝つことが出来ない。


昨今、速度に特化した高速槍と呼ばれる個体に加え、中脇差や苦無と呼ばれる新型の遡行軍が現れた。


こちらが極の実装により戦力向上に至ったかと思えば、この即座の対応。


敵も馬鹿ではないということか、それにしても打開策の考案が早すぎやしないか、というのが審神者達の見解でもあった。



｢もしかしたら、こちら側にスパイのような者がいる、という事も考えておくべきかもしれませんね。｣



少女がぽつりとつぶやくと、それは困る、ホントにいるのかそんなの、と言った声が上がった。


結局、少女達の部屋では｢敵の打開速度とこちらの戦力増強のタイミングについて、一度上と話し合いをするべき｣ということで落ち着いた。


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