【刀剣乱舞】ブラック本丸の新しい審神者は一期一振の娘でした【弐】

59.理想の関係 ページ19

会議そのものは、2時間ほどで終わり、その場はお開きとなった。


熱の篭った部屋から出ると、廊下も会議を終え一安心といった様子の他の審神者や近侍で賑わっている。


部屋を出てすぐに、少女は男審神者から声をかけられた。



男｢…お久しぶりです。

本日は、よろしくお願い致します。｣



そちらの加州にも、と男はお辞儀をする。


対して少女は軽く頭を下げ、男と加州に向き直った。



｢……彼の刀解は、うちの本丸で行わせて頂いても？｣



男｢構いません。｣



｢そうですか。

...それと、一つだけ聞きたいことがあります。

彼は、契約を解いているとは言え、あなたの加州清光です。

……貴方は、本当に私が彼を刀解するということで、構わないんですか？｣



自分の刀剣の、それも初期刀の刀解を他の審神者に頼むなど、普通生半可な気持ちでは頼めない。


男は、ふっと笑った。



男｢さみしいな、とは思いますよ。

そりゃあコイツは、霊力の扱いがどヘタクソな俺に、手取り足取り審神者のノウハウを教えてくれましたから。

いつか絶対、たくさんの刀剣で賑やかな...そして強い本丸にするんだ、って俺の願いを、コイツは叶えさせてくれた。

だから、今度は俺がコイツの願いを何でも叶えてやらないとって思うんです。｣



ずっと頼りっぱなしでしたから、と男は苦笑する。


男にとって加州は、初期刀という名の相棒であった。


ただし……期限付きの。



男｢コイツが貴方に刀解されたいって言うなら、それを叶えてやるのが、俺の役目です。

今まで本当に何かと世話になった。

未だにポンコツな主だけど、それぐらいはしてやらないと。｣



加｢……やめてよ、小っ恥ずかしいじゃん。｣



一言も発さなかった加州が、照れ臭そうに笑う。


彼らはどう見ても、理想の審神者と刀の関係を築いている。


それを今から、自分は壊そうとしている事になるのだから、少女は自分が本当に正しいのかと錯覚してしまいそうだった。



加『謀反刀の癖に……。』



清光は冷めた表情で、二人を見ていた。


初期刀を奪われるというのに、こうも幸せそうな男審神者も、清光にとってはどこか気持ち悪いものとして写った。


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