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「あっ……す、すみません……しょ、商品お預かりします」
「はい。お願いします」
商品のバーコードを読み取ると、金額を言う。清川さんはいつも通り丁寧に1000円札をトレイの上に置いた。彼の右手の中指に大ぶりでシンプルな指輪が光っていることに気づく。
「あ」
「え？」
「……あ、いや、あの、ゆ、指輪、お洒落ですね」
何とも下手くそな誤魔化し方。確か、動画の中の「キヨ」も中指に指輪をつけていた。デザインも同じだ。これは、他人の空似では無い。確実に、清川さんは「キヨ」だ。
そんな私の頭の中を、清川さんは露知らず、「あぁ〜」と言いながら自分の指輪を見つめる。そして、あの印象的なくしゃっと目を細める笑顔になると、「魔除けでつけてるんですよ」と答えた。
「魔除け……」
「指輪ってつける場所によって意味があるらしくて、確か右手の中指は、自分を守るって意味があるんです」
「へぇ、知らなかったです」
「アクセサリーとか、お金無くってあんまり持ってないんですよね」と苦笑いしながら言うと、清川さんは「絶対似合うのに」と言った。
隣でレジ打ちをしていた田中さんがその言葉を聞いて咳き込んでいる。私は彼女の楽しそうな態度を横目に、清川さんの買った品物を袋に詰めていく。
「ありがとうございます」
「ありがとうございました、またお越しください」
彼にビニール袋を渡すと、清川さんはそれを受け取りながら「今年もよろしくお願いします」と頭を下げた。ネットの大スターが、ただのコンビニ店員の私に等身大の姿を見せて話している。不思議だけど目の前で起きている事実。
画面の中で大声で笑う「キヨ」と目の前で軽く頭を下げた清川さんが、同一人物とはまだやっぱり信じられなかったけれど、別にそんなのどうだっていいんじゃないか。
私の目の前にいるのは、カレーやラーメンが好きで、店員さんに腰が低くて、笑顔が素敵で、とても優しい、清川さんだ。彼の職業がなんであろうとそれは変わらない。私も、今年も宜しくして欲しい。ただそれだけ。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
清川さんを見送ると、ちょうどレジ打ちの終わった田中さんが「ほんと仲良くなってるわよねぇ」とニコニコしている。
「何してる人なのかしらねえ。ちゃんと働いてる人ならホントに付き合っちゃえばいいのに」
「そういうのじゃないですって。お仕事は……」
私は口篭ると、「私も分からないです」と言って微笑んだ。
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parumu(プロフ) - かえる。さん» はじめまして！ありがとうございます(；＿；)♡これからも宜しくお願いします〜！！ (2022年8月28日 21時) (
レス) @page38 id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
かえる。(プロフ) - 初コメ失礼します!いつも楽しく読ませてもらっています！応援してます！ (2022年8月28日 21時) (レス) id: 06d9623eb5 (このIDを非表示/違反報告)
parumu(プロフ) - いぬU・x・Uさん» はじめまして！そんなふうに言っていただけて嬉しいです(；；)まだ何も起きていない平和なお話なのですが、楽しく読んでいただけると嬉しいです！ぼちぼち頑張ります〜！ (2022年8月28日 21時) (レス) id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
いぬU・x・U(プロフ) - 初コメ失礼します…！とっても素敵なお話をありがとうございます！！これからも主さんのペースで更新応援しております〜！！ (2022年8月27日 13時) (レス) @page37 id: b1951e364b (このIDを非表示/違反報告)
parumu(プロフ) - リーフィア推しの【タクト】さん» そうなのです、読んでいただきありがとうございます🥰 (2022年5月24日 20時) (レス) @page29 id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：parumu | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/parumu_u_62
作成日時：2022年4月23日 16時
