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遠くで蝉がなく声がする商店街に数人の人だかりがある。3人の男子生徒が女子生徒に絡む姿だ。
少女の髪は夏に似合わないほど白い。
ボブ程度に切りそろえられたそれを見て薄氷 Aであると気が付き、いそいで駆け寄るが少しふわふわと浮いているのかなかなか上手く進めない。
｢カラオケいこーよ｣
｢これから用事があるので…すみません話してください｣
淡々とした口調で答えているものの視線の動きや彼女が不安に思う時に出てしまう癖から戸惑っていることが分かる。
｢いーじゃん！｣
それでもなおしつこく男子生徒は彼女に絡みつく。なぜがウズウズと気分が悪い。払い除けようと手を伸ばすものの空を切る。どうやら干渉は出来ないらしい。
｢当時の俺はどこだ？｣
キョロキョロと自分の姿を探してみると、奥の方から何かが駆けてくる音がした。
そうだ、このとき自分は絡まれてるやつが薄氷だとはいえ気づく前に体が動き出していたのだった。気づいた時には酷く困惑してとりあえず薄氷の腕を取って走り出した。
｢え、轟先輩…？！｣
絶叫するような声を後ろに引連れて駅前の公園まで一気に走っていく。着く頃にはすっかり息を切らして汗ばんでいた。
｢ふぉ〜…｣
それは薄氷も同じようで顔を真っ赤にさせている。そしてふっと手を挙げて少しだけ周りの空気を下げてくれた。
｢わ、悪い…｣
｢こちらこそ、助けてくれてありがとうございます。｣
ぱっと顔を上げると薄氷はカバンからタオルを取り出してこちらを見ていて
｢やっぱり先輩は私にとって一番のヒーローですね。｣
ふわりと微笑んだ。
この瞬間だった。忘れてはいけない1ページ。
ある夏の夜、衝動的に助けてしまった『迷惑な後輩 』が自分にとっての特別になり近くに置きたいと願ってしまうようになったのはこの瞬間だった。
｢俺はお前のヒーローであり続けたかったんだな。｣
ぼそりと呟くとあの日のまだ髪の短い幼いAがこちらを向いて頬を染めて可憐に笑っている。
｢…こんなところにいる訳にはいかない。ヒーローたるもの、いや。｣
ぐっと拳に力が湧いてくる。
｢男たるもの好きな女を守れなくても何がヒーローだ！！！！｣
雄叫びのように叫ぶと思い出の世界がふっと消えていく。幼い男女が互いを見つめあって何かを話している、少女の髪がふわりとゆれるのを見届けることなく
｢Aから離れろ。クソ野郎が。｣
彼女にまたがる敵の首根っこを掴む。
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あまね(プロフ) - もう、更新はなされないんですか？ (2021年9月15日 19時) (
レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - 藍羽 -awa-さん» 更新まってます！ (2019年9月4日 7時) (レス) id: 5a526b3f59 (このIDを非表示/違反報告)
藍羽 -awa-(プロフ) - しのさん» お返事遅れてごめんなさい。ありがとうございます、。なかなか続きが決まらなくてかなり時間をかけてしまいました汗宜しければこれからも見てくださいね。 (2019年8月16日 3時) (レス) id: 50ad16c8ef (このIDを非表示/違反報告)
しの - 早く続きが見たいです！頑張ってください (2019年3月12日 1時) (レス) id: 5129f74190 (このIDを非表示/違反報告)
藍羽 -awa-(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» ステインも好きですが、今はエンデヴァーで精いっぱいです。最推しエンデヴァーをこよなく愛します！ミリイさんがステインの小説を書いてはいかがですか？？ (2018年8月31日 15時) (レス) id: 9753f354a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あいば | 作成日時：2018年7月11日 16時
