【オリジナル】清らかであり、汚れている。 (ページ2)

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清らかな魂、か。ページ2

僕は今、会議室らしき部屋で説明を受けている。
パイプ椅子に座る僕の目線の先にあるのは、スライドを映すプロジェクタースクリーン。
選ばれし魂のサポート担当だというユーフラテスさんの説明を要約するとこうだ。
今僕がいるこの場所『神界』はここ数千年ほど、慢性的な人手不足だという。
そこで100回転生を繰り返しても汚れる事がなかった魂を神界で雇うことで、問題を解消しようという政策が発表されたのだそう。
その魂を『選ばれし魂』や『清らかな魂』と呼んでいるらしい。
そしてその1人である僕は、死後こうして神界に呼び出されて説明を受けている、と。
(死んでも労働が待っているとは思いもしなかったよ。)話を聞き終わった僕がゲンナリとした顔で椅子の背にもたれかかっていると、ユーフラテスさんは慌ててこう言った。
「仕事といっても、最初は勿論簡単なものからですし、深海で働いて頂くという事は我々と同じ、神族になって頂くということですので！それ相応の能力や立場をお約束しますよ！」
よほど人手が足りていないのか、縋り付くように話すユーフラテスさん。
元から小さいのに猫背になって、さらに小さくなる彼女を見てしまっては断りづらい。
必死にこちらを見つめる彼女から視線を逸らし、冷静に考えようとした。
しかし、断る理由は特に思い浮かばなかった。
まだ詳しい業務内容を聞いていないので安易に頷くことはできない。
けれど問題がなければ、僕はきっと「僕でよければやります。」と言っている。
これから始まるであろう神界での生活を思うと笑みがこぼれた。
考えが固まった僕は、ユーフラテスさんに視線を戻して
「この後の説明で特に思うところがなければ、お受けしたいと思います。」と告げた。
するとたちまち彼女は嬉しそうな表情になり、何度も頭を下げる。
そして顔を上げた彼女は涙を拭ってこう言った。
「改めまして、転生サポート会社『Framtid』(フロンティッド)人事部へようこそ！」

つづく