またしても、恋愛の主役は我々だ！【短編集】 (ページ37)

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やりなおし※恋愛要素無しページ37

暗い部屋で目が覚めた。
どうやら、ベッドの上で寝ていたらしい。
身分の低い私にはもったいないほどの質の高い毛布。
私はまだ夢を見ているのかと頬をつねってみたけど違う。明らかに痛い。

体を起こして、部屋を見回る。
細かく部屋を確認するには、まず灯をつけないと。
スイッチを探し、壁を見つけて壁に沿って歩く。

……にしてもこの部屋、鉄臭くないか？

手についたスイッチのようなものをノックする。

すると、自分のいる部屋が明るく照らされた。

「……なに、これ」

私が寝ていたベッドの周りには、ぐちゃぐちゃの赤黒い物体が横たわっていた。

ここにいてはまずい。

そう察知した私は、部屋を出ることにした。

部屋の外には、天井の高い長い長い廊下が続いていた。
本当に見覚えのない場所だ。
私が働いていたところは、少しばかり小さかったはず。
みずぼらしいスカートを揺らしながら、右を進む。

向こうに人影が見えた。

「やっとここまで来たな。」
「…貴方、誰？」

スーツ姿で壁にもたれかかる眼鏡の男性。
少しよれているスーツの胸ポケットから箱を取りだしたばこを一本抜き取って、それに火をつけた。

「俺は大先生。この先お前と一緒に先に進む者や。」
「はぁ…」

こんな人の断り方なんて知らない。
私はこの人と先に進むことにした。

.

「ここが最初の難関やな。」

大先生が腰に手を添えて見上げながら言う。
見上げているのは、目の前に高くそびえる扉。
4m…くらいの大きさのある扉。大きすぎ。

「どうして難関だって分かるのですか？」
「……まぁ、何回もやってるし…って言っても、君は分からんか。」

理解の追い付かない馬鹿な私を笑ったのだろうか、彼はふっと笑みを浮かべて、また扉を見た。

彼が、ゆっくりとその扉を開ける。