13話 ページ28
それぞれ軽く自己紹介した後、ガッチマンはグラスに入れた赤ワインを手渡してくれた。
場違いな雰囲気にいるのではないかと緊張しながら、私はワインを一口飲んだ。芳醇な香りが良く、とても美味しかった。呑んだ事のないブランドで、店におススメされるがまま買ってみたけど正解だった。
ふとガッチマンを見ると、キッチンとテーブルの間を往来していて忙しそうだった。『手伝います！』と私は名乗り出たが、ガッチマンは「いいよ、いいよ」と優しく拒否してきた、
「Aちゃんはお客さんだし、今回の事で助けてくれた恩人なんだから、飲んで食べて楽しんでて」
と言うので、私は従うことにした。
＊
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「え！！？ 元カノなの！？」
『はい…一応』
驚いた声をあげた牛沢が、目を丸くしてこちらを見た。
どういう流れでこの話になったのか、私もよく覚えていないが、若干身構えた。
牛沢が急にキヨに向かって声を張り上げた、
「もったいなっ！」
私の隣に座っているキヨが身を乗り出して牛沢に反発した。
「どういう意味だよ」
「こんな綺麗な
「ひ〜っどぉ！」
そう言ってキヨは頬っぺたを膨らませた。何よその、女性アイドルみたいな愛嬌。私は危うく吹き出しそうになった。
不意に、キヨの右隣に座っているレトルトを見ると、二人の会話に参加せず、唐揚げをつまんでいる。私が見ていることに気付いたのか、ちらっとこちらを見た後、すぐに目を伏せた。話しかけたいと思ったが、人見知りだということを思い出し、身を引いた。
「お二人さんは、元サヤに戻ったりするのかな？」
ガッチマンがエプロンを外しながら愉快そうに笑った。私は軽く『そんなことはありえません…』と否定した。キヨの方から振り向きざまの強い風と鋭い視線を感じた。
「ほんとぉ？ でもお似合いだよお二人さん。おじさんは応援したいなぁ」
そう言って、缶ビールをカシュッと開けた。意外なガッチマンのくだけた一面に私は何故か癒された。
「でも、Aさん気をつけた方がいいよ〜？」牛沢が目を細めて言った。「こいつケチだから」
「うっしー！！」
キヨは今度は牛沢に突っ掛かった。しばらく言い争う二人に耐えられず、私は声を大にして言った、
『私から別れを切り出したんです！それに今は…す、好きな人がいますから！』
「「「え…？」」」
部屋が一気に沈黙に覆われた。
咄嗟に出た言葉だった。
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田中 - めちゃくちゃ面白いです‼️文もしっかりしてて読みやすいし、恋物語だけじゃないのもスッキリしててスゴイ好きです‼️‼️‼️ (4月3日 8時) (
レス) @page18 id: 1ce8f505b4 (このIDを非表示/違反報告)
いと(プロフ) - 彩海さん» 彩海様、コメントありがとうございます！ 拙い文なのに読んでいただけて、そして楽しみにして頂けているようで嬉しいです！ 頑張ります！ (7月10日 17時) (レス) id: 859fd3194a (このIDを非表示/違反報告)
彩海(プロフ) - コメント失礼します。kyさんが好きで某法廷バトルゲームが好きな私にとって最高の作品です♡楽しみにしてます、！ (7月10日 0時) (レス) @page24 id: b8d91d7ead (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いと | 作成日時：2023年6月22日 23時
