[ky]猫の猫2

声出てないよ？ ページ48

Aside
季節はもう秋。
かなり涼しく過ごしやすい季節になった。


A「おはよう〜。今日も涼しいね。」


寝癖を付けて寝室から出てきたキヨくんに声をかける。
「おはよう」といつもなら声が聞こえるんだけど、今日はなぜだか頷くだけ。
そのまま洗面所に行ってしまう。
なんで？何かおかしい。
いの一番に「可愛い」と抱き締めてくれるのに。
これが日常になってることがちょっと恥ずかしいけど、無いのは無いで不安になる。


A「キヨくん？体調悪い？」


そう聞くも首を横に振るばかり。
じゃあと思い、紙とペンを渡す。


A「声が出るなら書いて、出ないなら書かないで。」


キヨくんはスラスラと紙に書いていく。
これは怪しい。


A「読んでみて？」

キ「……ざぁぃじゅぅべぃぎぉれだぢ。」

A「声出てないよ？」

キ「ぁ"。」


騙されてくれたのは良かったけど、声がガラガラで音量がない。
これは相当喉がダメージを受けている。


A「キヨくん、なんで嘘ついたの？」

キ「……」


ペンを走らせて、書いたもの見せてくれる。


キ『心配させたくなかった』


綺麗な字に感心。
じゃなくて、しゅんとしてるキヨくんさらに聞く。


A「言ってくれない方が心配するよ？」

キ『ごめん』

A「うん。いいよ。それより病院行かないとね。」

キ『一緒に行ってくれる？』

A「うん。お医者さんに説明しないとダメでしょ？」

キ『ありがとう』


キヨくんの翻訳者として病院に同行することに。
喉が治らないことには実況も撮れないからね。






医者「んー。喉がね、ものすごく炎症を起こしてて、2、3日は喋らない方がいいね。薬出しとくから、ちゃんと毎日飲んでね。」

A「ありがとうございました。」


キヨくんはペコッと頭を下げて、2人で病室を出た。
これは実況出来ないなぁ、と思っていると、キヨくんから携帯のメモを見せられる。


A「手だけの動画？テロップで言葉入れて、私だけ喋って、書いたの写したり…うんうん。いいと思う！やろうよ！」


キヨくんも嬉しそうにニコッと笑った。
喋れなくても"キヨ"は健在のよう。
ちょっと変わったそんな動画もキヨくんなら、面白いものに仕上がると思う。
私もそのお手伝いが出来ることは凄く嬉しい。


A「家に帰ったら早速撮ろう！」


2人で企画を考えながら、家への道を歩いた。

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