#しらない ページ19
虫眼鏡
「あれ……。」
ぽろっと落としてまう、それくらい。
「虫さん、私黒髪に戻したの。」
いつもみたいな脳天気な声でそう言われる。
青と紫の派手な髪から綺麗な黒髪。
以前の五月蝿さを感じさせないくらいの清楚な黒。
「……似合ってるかな?」
「……似合ってるよ。」
「えへへっ、嬉しっ」
僕に褒められれば何故か白い、頬がほんのちょっと染まる。
その顔を見ると少しだけ苦しくなる。
黒髪になっただけ、それだけなのに。
食べ物を食べる時のマナーの良さ、言葉遣い、髪をかきあげる時の手……。
今まで気にしてなかった所作が目に入ってしまう。
「……虫さん、?やっぱりへん?」
しらない。
しらないよ。
馬鹿じゃないの。
「うんん。すごく似合ってるよ。」
それっぽい言葉をかければ、もっともっと期待させてしまうだけだってわかってるはずなのに。
てつやに幸せにしてもらうのに。
なんでこんなタイミングで変えちゃうのさ。
もう、ばか。
もうしらないから。
そんな君、知らなかった。
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サカモト(プロフ) - 私は神ださん» 嬉しい言葉を有難うございます!これからも少しづつ更新するので楽しみにしてもらえたら幸いです。 (2020年4月2日 22時) (レス) id: e78a000e6e (このIDを非表示/違反報告)
私は神だ(プロフ) - 面白い小説だったので評価させて頂きました!更新待ってます!! (2020年3月28日 17時) (レス) id: 5a7acc2ed1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:標 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kiyo0630201/
作成日時:2020年3月24日 7時