＊45 ページ46
そっか。
私なんかじゃやっぱり、遊び相手か。
私なんかじゃ本気の対象にはなれない。
私のせいでまた遊んでばっかのキヨさんなんかになってほしくない。
それになにより、私も、遊びなんか要らない。
貴「…気持ちがない関係は、もう私にはできません。好きな人ができたから。だから、お断りします。でも、だからって諦めれないんです。いつか本気になってもらえるように頑張ります」
自然と頬が緩んだ。
ふわりと笑った。
あれ、キヨさんの前で笑ったの、初めてかな？
いつも無表情だったり、怒ったり、苦しんだり、泣いたり、良くない顔ばっか見せてた。
そっか、そんな女に惹かれないよな。
そんなことを考えて、もう一度、自然に溢れる笑顔と一緒に"話聞いてくれてありがとうございました"と伝える。
玄関を後にしようとすれば、腕を掴まれる。
キ「…ごめん」
背中に感じる温度に、胸が高鳴る。
貴「…駄目です」
キ「ごめん」
貴「遊びは嫌です。だから、離してください」
キ「無理」
貴「好きだから、苦しいです」
キヨさんはずるいよ。
さっきまであんなに冷たかったのに、なんで抱き締めるの？
遊びでもこのままがいい、なんて頭の隅にそんな欲望が溢れる。
やだなー、こんな"欲"なんて。
貴「…離してください」
キ「嘘ついた」
貴「え？」
キ「嬉しかった」
貴「…」
キ「俺としか、したくない、って。…俺も同じだから」
どういうことですか？そう問いかける前に、こっち向いて、と腕を緩められて、またキヨさんと向き合う。
キ「変なこと言ってごめん。好きって言われて、俺すげー嬉しかったのに、なんか、素直になれなくて…。俺もお前のこと好き、なんだけど…」
貴「え…」
キ「だーから、好きなんだよ…遊びとかじゃなくて。一人の女性として、本気で」
顔を少し赤く染めるキヨさん。
ずるいなあ、なんでこんな簡単に、私の心を掴むんだろう。
貴「おんなじ気持ちだって、こと、ですか？」
キ「ん…俺と付き合ってくれませんか？」
貴「遊びじゃないんですよね…？」
キ「ちげーよ、お前だけ」
貴「…お願いします」
こんなに幸せで、いいのかな。
キ「…部屋入ろっか」
貴「お邪魔します…」
"男はね、女の子が家にあげてくれたら、何もせずに帰ったり出来るほど、立派な脳が無いみたいで"
牛沢さんに言われた言葉が頭に浮かぶ。
女の子も一緒みたいです。
家にあげてくれるのは、特別なのかな、って思っちゃってます、今。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 178人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
煎茶(プロフ) - コメント失礼いたします。三人の長所が絶妙なバランスで描かれていて至高の作品でした。この小説との出会いに感謝したいです。執筆お疲れ様でした。 (2018年8月27日 1時) (
レス) id: ea34eab2cb (このIDを非表示/違反報告)
ゆる(プロフ) - こねりさん» ありがとうございます(;_;)！！！内容が良い悪いはなんともいえないですか、いくつかお話は書かせていただいていますので、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです(*^-^*) (2017年10月23日 2時) (レス) id: 1e43dca40b (このIDを非表示/違反報告)
こねり(プロフ) - とっても面白かったです...！！うっしーがいい人すぎで、思わず読んでて泣いてしまいました...。新作の方も読ませていただこうと思います！！ (2017年10月16日 23時) (レス) id: 8a30c5e030 (このIDを非表示/違反報告)
。。*ましゅまろん*。。 - ゆるさんの小説みてたら、下の告知がいないないばぁ！で笑いました笑 (2017年3月29日 15時) (レス) id: b56a98098d (このIDを非表示/違反報告)
ゆる(プロフ) - 蒼乃さん» わかります！！！私も、他の方と交流すること全然なくてwwたくさんコメントでお邪魔しちゃいますね！ (2016年12月21日 1時) (レス) id: 2348e913dd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆる | 作成日時：2016年9月13日 3時
