【キIヨ】恋をした

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放送を見守るときにも、今まで持ってた変な感情は薄らいだ気がする。

だから、素直に笑えた。

終わって、お疲れさまです、と声がかかる。


みなさんが楽屋に戻られて、セットの片付けをする。
といっても、私にできることは限られていたけど。


キ「お前、どーせセットのでけーとことかはできねーんだからもうそんくらいでいーんじゃねーの？」

まとめてきた荷物を持ったキヨさんに話し掛けられる。

貴「仕事ですから」
キ「いいだろ、もう」
貴「…わかりました」
キ「お、素直じゃん」
貴「………ありがとうございます」
キ「は？」
貴「あの人とキヨさんは違いました。牛沢さんも。そんなのわかってたはずなのに。単純だな、って思われるかもしれないです。でも、キヨさんのおかげで、もう大丈夫だと思うんです。まだあの人自体は怖いです。でも、キヨさんたちは怖くないし、仕事をご一緒できて、これからももっといいものをつくっていきたいと思ってます。これからは迷惑かけないように気を付けます。仕事でもプライベートでも。だから、よろしくお願いします」
キ「お前なげーよww」
貴「…申し訳ありません」
キ「謝んなwwこれからも頼んだぞ？」
貴「…はいっ！」

キヨさんが腕を伸ばした、気がした。
でもそれはすぐに戻された。

牛「あ、Aちゃん、まだ片付けしてたんだ」
貴「私はスタッフなので、みなさんが出てからが仕事ですので」
牛「確かにww」
キ「…うっしー何？」
牛「お前らが明日仕事で打ち上げしてくれねーからAちゃんと飲み行くの」
キ「ふーん…」
貴「私も荷物取ってきますね」

二人にペコリと頭を下げて立ち去る。
待ってるね、と声をかけてくれる牛沢さん。
キヨさんは何も言わなかった。

そういえば、キヨさんは突然優しくなった気がする。
初めて話したあの日、結局あの人とかと同じ類いかと思っていた。
腕を引かれてキスをされそうになったあの日。
結局この人も、そういうことをしたいだけか、って。
それなのに、風邪を引いてる私を気遣ってくれるところも、あの人から守ってくれるところも、苦しくてどうしようもない私をなだめてくれたところも。
口こそ悪いけど、くすぐったくなるくらいの優しさ。
どうしてなんだろう、聞けないのに、そんな優しさがあると甘えたくなってしまう。

荷物を持って先程のところに戻れば牛沢さんが一人でスマホをいじっている。

貴「すいません、お待たせしましたっ…」
牛「そんな気にしないでよ、いこっか」

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