第8話:東條諒人 ページ9
一応、余裕そうな笑みを張り付けたつもりだが、内心、俺はかなり動揺していた。
名前は忘れてしまった、というよりは聞いたことがあるかすら明白でない。だが、こいつは俺達の敵、プランダラーという組織の幹部。それだけははっきりしていた。
何をするにしても、まずはこいつを何処かへ行かせなくては、と周りを見回す。
すると、物珍しげにこちらを見てくる野次馬の中に、見知った顔が見えた。
見たところ、今彼女は契約獣を連れてきていないらしい。その状態で目の前のこいつと鉢合わせるわけにはいかない。
心配そうな顔でこちらを見てくる彼女に、大丈夫だから隠れていろという意味を込めてばれないようにウィンクをする。
「…どうした?正論で言葉も出ないか?」
再び相手に向き直り、ん?と今できる精一杯の挑発をする。
そうすると、再び此方に向かって拳を突き出してくる。
相手の拳を右手でそれを軽く流すついでに、魔法を使って、こっそりと死なない程度の毒を体内に送り込む。
「おい待ててめぇ!」
そのまま振り向いて路地裏へと走りだすと、予想通り、奴は叫びながら俺を追ってくる。
ちらっと後ろを振り返ると、新入りになる予定の青年はどういう事だ、とでも言いたげにこちらを見ていた。
詩織が保護してくれればいいが、彼だと分かるだろうか。
最終的な問題は、効くまでに俺の体力が持つかだな、なんて思いながら路地裏に響く二つの速い足音を聞いていた。
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日向信乃(プロフ) - 大変遅くなりました。申し訳ございません (2016年6月29日 0時) (レス) id: 149e2c85db (このIDを非表示/違反報告)
日向信乃(プロフ) - 更新します (2016年6月28日 22時) (レス) id: 149e2c85db (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ(プロフ) - できました (2016年6月25日 12時) (レス) id: 43b426933d (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ(プロフ) - 書きますね。 (2016年6月25日 11時) (レス) id: 43b426933d (このIDを非表示/違反報告)
黒氷(プロフ) - 終わりました、SOS出したのでプランの方誰か繋いでくだされば… (2016年6月10日 22時) (レス) id: b7b1a79610 (このIDを非表示/違反報告)
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