15話 ページ15
一度荷物を置き、茶屋に入った頃には既に日は傾いていた。
こんな時間に甘味を食べると夕飯に支障が出るとも考えたが約束は約束だ。
甘いものなどに縁がなかったであろう彼女がどんな反応をするのか少し楽しみだったのだ。
「餡蜜って、どんなものなの?」
「どんなもの…そう言われると説明するのが難しい。食べてみれば分かる。きっと気にいるでござるよ」
彼がいった通り、Aは餡蜜を一口食べてみただけでそれの虜になった。
甘い、美味しい。と口元を緩める彼女はとても愛らしい。万斉は、子供を見守る親の気分にでもなったかのようなものだった。
そしてそんな彼女を見て、ふい、と疑問を口にする。
「そういえば、ずっと気になっていたのだが。Aはあのような生き方をしながら、言葉遣いも箸の使い方も普通の者と何ら変わりない。…何処かで教わったのか?」
あのような生き方。というのは殺しや盗みのことだろう。
確かに貧しい者や、孤児は他の人同様にすらすらと話すことが出来ない者や、箸を使えないものが少なからずいる。
彼の聞きたいことはそういうことだろう。
「生まれた時から、1人だった訳ではないから…。確かに両親の顔は覚えていないけれど祖母に育てて貰ったわ。だから読み書きも多少は出来る」
その祖母も十になる前に亡くなったけど。と付け足した。
「成る程、では自分の生年月日や齢もちゃんと分かるのか?」
「うーん…誕生日はあまり覚えてないけど。確か冬だったわ。雪が降っていたらしいから。齢は多分17くらい。」
「17!それは、誠でござるか⁉」
「え…いくつだと思っていたの」
正直な話、万斉。というか鬼兵隊のほとんどはAを13程だと思っていた。
幼い顔立ちをしている上に背も低い。
栄養不足により成長が止まってしまったのかもしれないが、どう見ても彼女が年相応には見えなかった。
確かに、万斉に比べればまだ幼くとも13と17の扱いには流石に違いが出てくる。
通りで子供扱いを嫌がるはずだと、彼は少しだけ反省した。
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きつねここ(プロフ) - コメントありがとうございます!頑張って更新します! (2018年10月16日 7時) (レス) id: 2ea163fd5a (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃむーしゅ(プロフ) - 鬼兵隊好きなので続きが楽しみです! (2018年10月16日 3時) (レス) id: ea9a3f21f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きつねここ | 作成日時:2018年10月13日 20時