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21話 ページ22

「孝太…」




私が彼の名前を呼ぶと





「何?どうした?A…」




やっぱり孝太は優しい返事をする。





「俺、Aを愛してるんだ…ごめんな。おれ、おかしいよな…お願いだから嫌いにならないでくれ。A…」




ギュッ…




孝太は優しく私の身体を包み込む。





「だから別れるなんて言わないでくれよ。頼むよ…Aだけなんだ。ごめんね。これからも俺だけのAでいてほしいよ…」




孝太の言葉はもう私には届かなかった。
身体中には無数のキスマーク。
ここで拒否したらまた何かされるかもしれない恐怖もあり、









「わかったよ…孝太」






素直に返事をした。






♪〜




そこにまた着信が…今度は私の携帯ではない。孝太のだ。






孝太はディスプレイ画面を私に見えないようにして確認した。






浮気相手の子だろう。

孝太が口を開いた。




「ごめん、A。俺このあと用事あったんだった!すぐに家でなきゃいけないけど、駅まで行ける?」




あぁ…その子と会うんだね。傷つく心もあるけど、不思議と嬉しさもあった。




「大丈夫だよ。駅まで行けるよ」







早く離れたかった。今はただそれだけ。それと同時に一虎に会いたい…









そうして私はボロボロの身体を起こして駅まで向かったんだ。

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作者名:あいこ | 作成日時:2021年10月10日 11時

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