君と見た未来〈3〉 ページ21
自分が思っていたより自分は子供で、北山は大人だった。なんか、何もかも自分が情けなくて自然と俯いてしまう。
すると、ふと頭の上に感じられた手の重み。
「別に無理に話してほしい訳じゃないから、俺からは何も聞かない。ただ、落ちてんなーって、それくらいは分かってるつもり。……俺がほっとけないだけだから、気にすんな」
そう言うと、収録終わりでせっかくキマってるままの髪の毛をぐしゃぐしゃと乱暴に撫でられ、顔をくしゃっとさせて笑いかけてくる。
胸の奥が、じわっと熱くなる気がした。
ぎゅっと掴まれたような、言いようのない感覚に包まれる。
「…もー、ボサボサじゃん」
乱れてしまった髪を撫でつけながら、ひとり勝手に心の中のそれらを悟られないように悪態をつく。…触れられた場所が熱かった。
別に、誰かに気付いてほしいわけではなかった。むしろ落ちてる自分に気付きながらも、態度にも顔にも出してないつもりでいた。普段と変わらない自分でいたつもりだった。自分の中で踏ん切りつけて、燻ってるものも昇華していくと思ってた。
…そう、北山ってそういう奴だ。
ガサツな感じの印象だったのに、実は誰よりも周りを見てて、そういう変化に意外と敏感。
誰一人気付かなかった変化に、北山だけが気付いてくれた。
その事実がある種の優越感のようなものを俺にもたらした。
それがくすぐったかった。嬉しかったんだ。
「ねえ、北山」
「…デビュー、出来んのかな。俺ら」
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作者名：yuma | 作成日時：2016年12月20日 1時
