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君と見た未来〈2〉 ページ20

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綺麗な夕日が俺たちを照らしていた。



ジーンズが汚れる、なんて気にせずに砂浜に座り込んで、それが少しずつ沈んでいくのをひたすらに眺めてた。


別に何があったと言うわけではない、ただ少し落ちてた俺を見兼ねた北山が、本人曰く穴場だと言うお気に入りの海岸に連れてきてくれた。






「俺さー、嫌なこととか、辛いこととか…もう逃げ出してえなーって思ったときはいっつもここ来てんの。」


「………」


「なんかこんな綺麗な景色見てると、自分何してんだろうって、ちっせーなって思う。いい意味でどうでも良くなるんだよね。」





黙りこくってる俺をよそに、静かにゆっくりと、柔らかい口調で話す北山。特に何も聞いてはこないで、一方的に話し続ける。今は、その優しさに甘えさせてもらった。










ちらりと横目で北山に視線を向けると、
想いに耽るように物憂げな表情を浮かべている。








辛かった時のこと、思い出してるんだろうか。


…勝手に強いと思い込んでいた。いつも前向きで、真っ直ぐで、燃えるように熱い男で、普段は郁人なんかとバカやってはゲラゲラ笑ってて。



そんな北山でも、逃げ出したくなるようなことがあるなんて。





そりゃあ、あるんだろうけど。北山はどんな時だって笑っていた。だから気が付かなかったし感じなかった…感じさせないように、していたんだ。今思えば、分かる。隣にいるだけでなんでも分かっているような気になっていた。



俺は全然、分かってなんかなかった。




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作者名:yuma | 作成日時:2016年12月20日 1時

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