Holy night with you〈6〉 ページ13
「その人を好きになって初めてのクリスマスは、ここでひとりで過ごしたんだ。その人には相手がいて、勝手に失恋してた。何度も諦めようとしたんだけど、出来なくて……」
もう何年も、その相手を想っているんだろうか。
時々言葉をつまらせながら、一生懸命に言葉を紡いでいる。
「でも、もう想いが溢れちゃいそうでさ……最後にちゃんと伝えて、さっぱり諦めようって」
スッ…と、藤ヶ谷がツリーを見上げた。
切ない表情を浮かべるその横顔に魅入ってしまう。
好きとかそんなの全部捨てて……なんて、無理だろ。
さっき貰ったお茶は、まだ飲みきってないのにすっかりぬるくなっていて、もうカイロの役割すら果たせていなかった。
「…今日、電話が繋がったら……ちゃんと言おうと思って決めてた」
で、んわ……?思い当たる節に、頭が急に真っ白になり、バクバクと忙しなく心臓が動くのを感じる。期待と、不安と、焦りと…なんとも言えない感情が入り混じって、自分の中をすごいスピードで駆け巡っている。
お前が、俺にまだ伝えてないことって、何?
動けなくなってる俺を、綺麗な藤ヶ谷の瞳が捕らえた。
「俺が、ツリーを一緒に見たかったのは…北山だよ」
「……お、れ…?」
想像もしていなかった展開に、頭がついていかない。叫び出したいほど嬉しいはずなのに、信じられなくて、全然状況を飲み込めていない。
ふじがやが、おれを……?
それは、俺の都合のいいように捉えてもいいの…?
『一緒に見たい人はいるんだけどね、なかなか』
なあ、あの日…お前が想っていたのは───
「ずっと……すきだよ、北山…」
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作者名:yuma | 作成日時:2016年12月20日 1時