捌 ページ10
男「では、ここを解いてみてください。」
異様な光景だ。牢獄に入れられた囚人が
見張りに学問を教えている光景。
『…。骸。交代だ。』
骸「!」
骸は相変わらず無言で立ち去る。
男「次は貴方ですか!おや、青髪の子と同じ様な顔つきですね?双子ですか?よろしくお願いしますね。」
この男は、これから死ぬのに笑顔が消えない。
男「貴方、名前は?」
『…。骸。』
男「それじゃ青髪の子と一緒ですね。
親に付けられた名はないのですか?
青髪の子は、親を知らないみたいですから仕方が無いですが、あ、もしかして貴方もですか?」
『私は死神だ。名はない。親からも一族からも見捨てられた。ただの鴉だ。』
男「それは申し訳ない事を聞いてしまった。
すまない。でも青髪の子と同じ名では、どちらを呼んでも誰が呼ばれたのか見分けがつかないのでは?
私が君に名をつけましょう。どうかな!」
『……。』
男「いや、青髪の子にも何回も聞いたのですが、全て断られましてね。でも骸なんて物騒な名前、子供が名乗るものではないですからね、せめて君だけでも自分の名前を付けてあげれたらいいなと思いまして。」
『…名前なんて、必要では無い。』
男「う〜ん、どうしようかなー?優香?心音?紗綾?」
『……。』
男「気に入りませんか。そうだな〜……。
Aはどうでしょう?」
『ッ…!』
男「おや、気に入ってくれましたか?
それは良かった!これから貴方の名前は、Aです。」
『…そう。』
私はこの男が分からなかった。
ここに何故か居られなくなり、仕事をサボり私は牢獄から出た。
なぜあの名前に反応してしまったのか、分からない。
あの男を少しだけ知りたいと思ってしまったのは、不可抗力だろう。
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作者名:羽衣狐 | 作成日時:2019年1月24日 0時