【HQ】さよなら、親友。【男主】

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宮侑side



今日は一段と暑い。

セミはうるさいし、体育後だし。

クーラーだって効いているのか分からないレベル。


侑「あ〜〜〜〜っつい！！！！！！！」

『喧しい』


ペシッと下敷きで頭を叩いてくるヤト。

…お前だって珍しく袖巻いてるくせに。


普段 体育以外で見える事のないその腕は
引き締まっていて、女が倒れてきても軽々と支えられてしまいそうだ。

『………侑、あのさ』

侑「ん〜？」


ヤトが持っている下敷きを奪って自分で使い出す。

微量な風が最高のご褒美に思えた。


俯くヤトの髪の毛が光に反射してキラキラと輝いている。





＿＿＿ただ、純粋に、綺麗だと思った。








『……俺、侑の事が_____好き、なんやけど』





__________蝉の声が止んだ。









.


侑「…____ッハハ、お前でも冗談 言うんやな。」








・
・
・








ガシャンッ


自販機から勢いよくジュースが落ちる音がして、屈んで手に取った。


校舎裏にひっそりと佇む自販機は、いちごオレが美味しいと有名らしい。

前にあんなに欲しがった筈なのに、
今、この瞬間はただの甘ったるい糖分の塊にしか思えなかった。






＿＿蝉の声が止んだあの一瞬。




いろんな事が思い浮かんだ。



お前がもう少し、もう少しだけでも冗談っぽく言ってくれたなら。

お前があんな熱のこもった目で見つめなければ。



お前が、お前が、お前が！！






俺に「好き」と言わなければ。







＿＿＿あんな顔させないで済んだのに。







ストローからピンク色の液体が流れ出る。





お前がよく飲むこれは、

俺には甘すぎる。

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