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似合うかな、なんて小指を向けるとシンプルでよく似合ってると褒めてくれるツーハオ。ツーハオの小指に付けられた私とお揃いのそれも、飾らない彼自身を証明しているみたいで、とても似合っていた。じゃあ貸して、と私の指からリングを抜き取ってレジへと向かう。咄嗟の事だったので少し遅れてついて行き、お財布を開けようとするとカードで先に支払われてしまった。
『ツーハオ、私の分のお代受け取って』
『いいの、俺が欲しいって言い出したんだし。少しくらいカッコつけさせてよ』
『後、ずっと力強かったことの謝罪、なんてね』
治るかわかんないけど!なんて笑って話すツーハオ。いつも笑顔だから朗らかで話しやすく、和らげな印象が強いけれど、彼はとても繊細で、酷く優しすぎる人なのだ。もしかしたら前の評価の時のこと、気にさせてしまっていたのかもしれない、なんて。
“ツーハオなら、いいよ”
力強くて、という中国語は出てこず、朧気な言葉にしかならない。もしかして伝わらなかったかな、付け焼き刃のようなものだし。そう思って彼の顔をちらりと覗くと私の口から彼の母国語が放たれたことに、目の前の彼は瞳を大きく開けて驚いていた。
『伝わった?初めて中国語話すならツーハオがいいと思ってたの』
私がみんなに日本語で話しかけて貰えると嬉しいように、きっと彼もそうだと思った。まだ私は中国語を話すことに自信なんてさらさらないし、ツーハオならたとえ間違っていたとしても優しくからかってくれるのだと思い、最初に話すのは彼だと心に決めたいた。
“なにそれ可愛い。覚束無い喋り方も可愛いし俺にだからそんな可愛いこと言ったの?”
『ツーハオ、私そこまでまだわからないよ』
中国語ってどうしても聞いていると早口に感じてしまって、リスニングはまだ以下だ。韓国語を話している時のゆったりとしたツーハオは何処へか、まだ話し続けている。大きな独り言のようだ。
“いつもはちょっと塩対応なのに、なんだかんだAは俺のこと好きだよね”
“?好き”
聞き取れた単語をオウム返しのように言葉にすると、大きな口をめいっぱい横に広げご機嫌顔になり、私の頭をうりうりと撫で始めた。店先だから人目もあるし恥ずかしくて、早く次の場所に行こうと彼を急かした。
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RUNA(プロフ) - いえいえ教えてくれてありがとうございます! (2023年4月4日 15時) (レス) id: 391b329446 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - RUNAさん» コメントありがとうございます。こちらの作品ではチャギはパクハのことになっております。分かりづらかったりミスしていましたら申し訳ございません。 (2023年4月3日 21時) (レス) id: 103a13316a (このIDを非表示/違反報告)
RUNA(プロフ) - チャギってパクハでしたっけ? (2023年4月3日 13時) (レス) @page34 id: 391b329446 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - 鈴木さん» コメントありがとうございます〜!そう言っていただけると嬉しいです(;;)これからもゆっくりと書いて行きますのでのんびりとお待ちいただけますと幸いです! (2023年3月30日 6時) (レス) id: 103a13316a (このIDを非表示/違反報告)
鈴木(プロフ) - クムとパクハが大好きすぎて頭抱えてます大好きです(;_;) チャギ呼びもクムの騒がしい感じも最高ですこれからも応援してます!!! (2023年3月27日 22時) (レス) id: 3e062d6061 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りあ | 作成日時:2023年3月17日 22時