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幸せを噛み締めて沢山味わったところでお店を出ようと席を立つ。代金を払おうとレジでお財布を出したけれど、お母さんに大丈夫だと言われてしまった。本当に至れり尽くせりで申し訳ないので、少しだけでもと打診したけれど、優しく笑って口を開けた。
『ハンビンが練習生のみんなのおかげで辛くても頑張れてるって話してたから、少しのお礼だと思って』
お礼を言うのは私たちの方なのに、と話してもいいのいいのと手を振るばかりで相手にして貰えない。そこまで仰ってくださるなら、とご好意に甘えると全然よ、とハンビンと似た笑顔を見せてくださった。
『代わりに、これからもハンビンと仲良くしてやってね』
その言葉を聞いてチャギはお礼を言いハンビンと共に外に出る。私もその後に続こうと頭を下げてお店を出ようと思ったが、ハンビンのお母さんに名前を呼ばれて足を止めた。
『Aちゃん、貴方の名前、よくハンビンの口から出ていたの。まさかこんなにすぐ会えるなんて思ってなかったけれど、今日会えて本当に良かった。また、何回でもお店に遊びに来てね』
ゆるゆると手を振るハンビンのお母さんは慈愛に満ちていて、ハンビンはこんなに素敵な方から愛と真心を込めて育てられたからあんなに完璧な人になったのかもしれない。
『こちらこそ、本当にありがとうございました。また、絶対来ますね』
そう伝えてぺこりと頭を下げると嬉しそうに微笑んでくださった。もう一度深く頭を下げて外に出ると、何を話してたの?と2人に聞かれる。またお店に来る約束だと話すと、ハンビンも自分事のように嬉しそうにしてくれた。
じゃあね、とハンビンに手を振り2人で歩いた、つもりだったが何故か私の隣にはハンビンがいる。チャギは不満げにヒョンなんでいるの、と話しているがハンビンには届いていないようだった。しかし、彼のスマホの着信音が鳴り響き、ちらりと画面を見るとお母さん、の文字。耳に当てられたハンビンのスマホからは、微かに2人の邪魔しないの!と可愛い声が漏れていた。プツリと電話を切ると、ハンビンは私たちに振り向く。
『お店来てくれてありがとう、2人とも。A、次は僕ともデートしようね』
『俺のヌナだからヒョンはダメです』
チャギの言葉をさらりと交わして私の頭を優しく撫でたあと、カフェへと戻っていくハンビン。先程お母さんを見たからか、いつもよりもその手に温もりを感じた。
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RUNA(プロフ) - いえいえ教えてくれてありがとうございます! (2023年4月4日 15時) (レス) id: 391b329446 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - RUNAさん» コメントありがとうございます。こちらの作品ではチャギはパクハのことになっております。分かりづらかったりミスしていましたら申し訳ございません。 (2023年4月3日 21時) (レス) id: 103a13316a (このIDを非表示/違反報告)
RUNA(プロフ) - チャギってパクハでしたっけ? (2023年4月3日 13時) (レス) @page34 id: 391b329446 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - 鈴木さん» コメントありがとうございます〜!そう言っていただけると嬉しいです(;;)これからもゆっくりと書いて行きますのでのんびりとお待ちいただけますと幸いです! (2023年3月30日 6時) (レス) id: 103a13316a (このIDを非表示/違反報告)
鈴木(プロフ) - クムとパクハが大好きすぎて頭抱えてます大好きです(;_;) チャギ呼びもクムの騒がしい感じも最高ですこれからも応援してます!!! (2023年3月27日 22時) (レス) id: 3e062d6061 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りあ | 作成日時:2023年3月17日 22時