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運ばれてきたのはインジョルミトーストにチーズケーキ、そしてカフェオレとアイスコーヒー。頼んでないホットコーヒーはハンビンのものだろう。サービスでシカゴピザまで頂いて、至れり尽くせりすぎる。そしてタイミングよく運んでくださったハンビンのお母さんに口には出さず感謝する。本当にありがとうございます。
いただきます、と手を合わせてトーストを1口齧ると、くどすぎない甘みとパンの香ばしさが同時に広がって、口の中に幸せが充満する。宿舎は油物がフルーツかの両極端なものが多かったからか、この罪な甘さがとても美味しい。自然と頬も緩んでしまう。
『ヌナ、幸せそうに食べるね』
『だって幸せだもん。とっても美味しい。招待してくれてありがとうね、ハンビン。チャギは着いてきてくれてありがとう』
満面の笑顔のチャギと、少しだけそっぽを向くハンビン。そんな2人だけどどういたしましてと揃って言うので、仲良いなあ、なんて他人事のように思う。ハンビンは小さな声でAだけかと思ったのに、と呟いている。私の耳には入ったけれど、チャギには聞こえていないようだった。
『今度は1人でやってくるから、機嫌直してよ』
お母さんも見てるよ、なんて揶揄うと、絶対だからね、と口を尖らせて言うものだから可愛く感じてしまう。お母さんの前では失礼か、とも思ったけれど、ハンビンのお母さんもくすくすと笑っていた。笑顔がどことなく似ていて、親子って素敵だな、とぼうっと考える。
私の親も、私の夢を素直に応援してくれていたら良かったのにな、なんて。最後に連絡をとったのはいつだから分からない両親に思いを馳せる時間なんて勿体ないので、美味しい食事と楽しい会話で忘れることにした。
『これから2人はどこ行くの?』
コーヒーを啜りながら聞いてくるハンビンに、ノープランと応えると苦笑いされてしまった。行き当たりばったりも楽しいと思うのだけれど。
チャギにどこ行きたいか尋ねると인생네컷撮りたい!とはしゃいでいる。インセンネッコ、の文字に疑問符を浮かべていると、お金を入れて写真を撮ると動画として保存でき、シールとして印刷されてくるもの、だそう。日本で言うプリクラみたいなものかな。
いいね、と返すと直ぐにわくわくしたように目を細めるチャギは愛らしい。最近思うけどポケモンのエネコみたい。対面にある頭をわしゃわしゃと撫でると、年下扱いしないで、と目の前のケーキを頬張り始めた。
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RUNA(プロフ) - いえいえ教えてくれてありがとうございます! (2023年4月4日 15時) (レス) id: 391b329446 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - RUNAさん» コメントありがとうございます。こちらの作品ではチャギはパクハのことになっております。分かりづらかったりミスしていましたら申し訳ございません。 (2023年4月3日 21時) (レス) id: 103a13316a (このIDを非表示/違反報告)
RUNA(プロフ) - チャギってパクハでしたっけ? (2023年4月3日 13時) (レス) @page34 id: 391b329446 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - 鈴木さん» コメントありがとうございます〜!そう言っていただけると嬉しいです(;;)これからもゆっくりと書いて行きますのでのんびりとお待ちいただけますと幸いです! (2023年3月30日 6時) (レス) id: 103a13316a (このIDを非表示/違反報告)
鈴木(プロフ) - クムとパクハが大好きすぎて頭抱えてます大好きです(;_;) チャギ呼びもクムの騒がしい感じも最高ですこれからも応援してます!!! (2023年3月27日 22時) (レス) id: 3e062d6061 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りあ | 作成日時:2023年3月17日 22時