Violeta 2

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電車をおりてバスに乗り、歩くこと数十分、もはかからなかっただろうか。位置情報で示された場所に着くと、カトクで送られてきた名前と一致するカフェが現れた。外にも席があるみたいで、クマのぬいぐるみが座っている、可愛い。


チャギと手を繋いで中に入ると、きれいな女性が席を案内してくれる。きっとハンビンのお母さんだろう。ハンビンに教えて貰って、と話すとハンビンのお母さんは彼を呼んでくれて、少し奥からエプロンをつけたハンビンがでてきた。


『A、そんなすぐに来てくれ、たんだ、ね』


私の姿を見て1度言葉が詰まり、話し出したかと思えば隣のチャギを見てもう一度止まる。チャギの顔は見れてないけれど、多分心底楽しそうなお顔をしてると思う。案内していただいた席に着いて何を頼もうかとチャギと話していると、ハンビンがゆっくりと席に近づいた。


少し離れたところから来たから混雑時は既に過ぎ去り、運良く他のお客さんは注文を終えて食事を取っているところで、手は空いているのだそう。ハンビンのお母さんの粋な計らいで少し休んでもいいとの事で、ハンビンは私の隣の席に腰かけた。


『で、なんでハンビンとAが手を繋いで、一緒に来たの？僕、誘ったのはAだけのつもりだったんだけど』


『今日は俺とAヌナのデートだったんで！ヒョンも運が悪いですねえ』


そんなチャギの反応にはあ、と小さくため息をつくハンビン。おすすめはこれとこれ、と接客業も欠かさないあたり店員としての箔がついてある。店員直々に薦められるのならきっと外れているわけがないと思い、そのままハンビンにそれを2つずつ頼むと、お母さんに注文を伝えたあと、またしても戻ってきた。


『ヒョン、店員の仕事を全うした方がいいですよ。俺からしたら折角ヌナとのデートなのに』


『母さんから許可は貰ってるし、デートを邪魔してるの。A今度は僕とデートしようね、今日付決めよう』


そう言ってスマホのカレンダーを開くハンビン。チャギもずるい！じゃあ俺も！と同じようにカレンダーを開けた。クリスマスと大晦日以外は予定空いてる、と伝えると2人して誰との？と声を合わせて聞いてきた。Wハンビンなだけあって気が合うのだろう。
ここで名前を出すとその子が何かしら後で言われそうなのは今までの経験上理解しているので、秘密、と答える。2人は文句をつらつらと述べてきたけれど、ハンビンのお母さんが運んでくれた料理とドリンクに遮られ、口を噤んだ。

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