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『オールスター、おめでとう』
私は着替えて既にパジャマになっていたので、最終発表の時私のことを見ていたのだろうか。俺も上がれたよ、と言いながら彼は優しく私の頭を撫でてくれた。
ハンビンの触れ方は優しさとか温もりが全面に押し出されていて、心地よく感じて目を瞑ってしまう。子供みたいだとくすくすと笑うハンビンだけれど、ハンビンが赤子を愛でるように私に接しているからだと思う。
仕草の節々から滲み出る包容力とか、慈愛だとかが凝り固まっていた何かをゆっくりと解してくれているような、そんな感覚。
『僕、Aと一緒にオールスターになること、勝手に目標にしてたから達成出来てよかった』
『それ私がダメだった時どんな結果でもハンビンももれなく未達成になっちゃうじゃん』
『Aは絶対オールスターになるって、どこか確信してたんだよ』
第六感?そんな感じ。話しながらもずっと私の頭を撫で続ける彼は、私のことをペットか何かだと勘違いしているのだろうか。そんな私の心が読めたのか、こっちがいい?とすっと抱き寄せられる。
とくとくと心地の良い音が聞こえて、少し眠りに誘われる。だめだ、ここで寝る訳には行かないと気を持ち直して、ハンビンに向き直る。
『あれ、もっと近くがよかった?』
先程よりも力が込められぐっと距離が近くなる。全然私の意図は伝わっていないようで少し呆れてしまうが、そんな私のことを無視してハンビンは話を続ける。
『A、暖かいね。もしかして眠い?ここで寝ていいよ』
『眠いってわかってるなら離してよ』
ここで寝ていいって、と私の背中をとんとんと優しく叩くハンビン、抗わなければならないはずの睡魔がさらに襲ってきて、いつの間にか私のまぶたはゆっくりと閉ざされててしまった。
.
すうすうと寝息を立てて、俺の腕の中で眠るA。こうして彼女の温もりを感じていると、確かに彼女はそこに居るのだと、確信を持たせてくれる。
ゆっくりと彼女を抱き上げ、ベッドに横たわせる。このまま、二度と起きないのではないかと思わせるくらい、彼女は静かにしているととても儚く、すぐに散ってしまいそうだった。
彼女の自分だけを見ていると錯覚させる瞳の裏返しだろうか、目が合わない彼女は、いつか消えてしまうのではないかと、そう思わされる。
せめて、僕の記憶の中に温もりとして存在するようにと、彼女の頬に優しく唇を落とし、静かに彼女の部屋から帰った。
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RUNA(プロフ) - いえいえ教えてくれてありがとうございます! (2023年4月4日 15時) (レス) id: 391b329446 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - RUNAさん» コメントありがとうございます。こちらの作品ではチャギはパクハのことになっております。分かりづらかったりミスしていましたら申し訳ございません。 (2023年4月3日 21時) (レス) id: 103a13316a (このIDを非表示/違反報告)
RUNA(プロフ) - チャギってパクハでしたっけ? (2023年4月3日 13時) (レス) @page34 id: 391b329446 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - 鈴木さん» コメントありがとうございます〜!そう言っていただけると嬉しいです(;;)これからもゆっくりと書いて行きますのでのんびりとお待ちいただけますと幸いです! (2023年3月30日 6時) (レス) id: 103a13316a (このIDを非表示/違反報告)
鈴木(プロフ) - クムとパクハが大好きすぎて頭抱えてます大好きです(;_;) チャギ呼びもクムの騒がしい感じも最高ですこれからも応援してます!!! (2023年3月27日 22時) (レス) id: 3e062d6061 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りあ | 作成日時:2023年3月17日 22時