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時は過ぎてツーハオに指定された日時、とある練習室へ向かうと、制服に身を包んだツーハオとカメラや照明を携えたスタッフさん達がいた。ツーハオは私に気づくといつも通り破顔して私の名前を呼んだ。
『A、来てくれたんだ!よかった、来ないかと思った』
『絶対来てね、なんて言われてるのにすっぽかさないよ』
そう答えるとAはそんな人じゃないもんね、と優しく頷かれる。見た感じ多分、シグナルソングのチッケム撮影だろう。スタッフさんは何故私がここに居るのか、と聞きたそうな顔だが、私もそうである。どちらからともなく口を開けると思っていたが、声を出したのはツーハオだった。
『すみません、Aに見て貰いたいんで居てもらっても良いですか?』
ツーハオの問いかけに意義を唱える人はおらず、私はカメラに映らない隅の方にちょこんと立たせてもらう。今から撮影が始まるってのに、緊張感がないのかツーハオは私にひらひらと手を振る。私もゆっくりと振り返すと、満足気ににっこりと笑った。
カウントが始まって、音楽がスタートする。聞きなれたメロディーだけれど、こんなにツーハオのダンスだけを集中して見ることは無かったため、なんだか変な感じがする。
それにしても、やっぱりツーハオのダンスはとっても素敵だ。
クランプを得意としているからか、どの仕草も力強く感じる。特に足の動きやステップは随一で、個人的にツーハオのダンスで下半身を1番注目してみてしまう。そんな力強さに溢れるダンスをするけれど、音の最後まで丁寧に振り付けを全うしていて、綺麗、という印象も強く残るからすごいと思う。
腕を伸ばすところ、振り下ろすところ、緩急かしっかりしてて、彼の踊りは見ててとても楽しい。
たまに私の方をちらりとみては、先程までの強い眼差しから一転、顔が綻ぶのが見てて愛らしい。これも撮影されてるのだと思うと、チッケムを見た人からすると少しびっくりされるのではないだろうか。
チッケムを見る人には申し訳ないけど、なんて特等席なのだろう。ファンの人には申し訳ないけれど、少しだけ、優越感が湧いてくる。
やっぱり、ツーハオと一緒にあのステージに上がりたかった。もう、その願いは叶わないけれど。
代わりに、これからの評価で、どこか一緒に出来たらいいな。全力で踊って、肩で息をするツーハオに思いを馳せた。
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RUNA(プロフ) - いえいえ教えてくれてありがとうございます! (2023年4月4日 15時) (レス) id: 391b329446 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - RUNAさん» コメントありがとうございます。こちらの作品ではチャギはパクハのことになっております。分かりづらかったりミスしていましたら申し訳ございません。 (2023年4月3日 21時) (レス) id: 103a13316a (このIDを非表示/違反報告)
RUNA(プロフ) - チャギってパクハでしたっけ? (2023年4月3日 13時) (レス) @page34 id: 391b329446 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - 鈴木さん» コメントありがとうございます〜!そう言っていただけると嬉しいです(;;)これからもゆっくりと書いて行きますのでのんびりとお待ちいただけますと幸いです! (2023年3月30日 6時) (レス) id: 103a13316a (このIDを非表示/違反報告)
鈴木(プロフ) - クムとパクハが大好きすぎて頭抱えてます大好きです(;_;) チャギ呼びもクムの騒がしい感じも最高ですこれからも応援してます!!! (2023年3月27日 22時) (レス) id: 3e062d6061 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りあ | 作成日時:2023年3月17日 22時