Violeta 2

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いざ、本番。今日はいつものあの感覚がないから少し心配だ。多分、今まで以上に緊張しているのかも。可愛い制服に身を包まれてテンションが上がっているのもあるかもしれない。こんなに複数台ものカメラに囲まれて撮影されることなんて、もう当分ないだろうな、いや、最後かも。ドローンにまで撮影されるなんて驚愕である。


シグナルソング、난 빛나。私は君がいるからもっと輝ける、って考えた時に、ほかの練習生ならお互いのことを思うのかなって、でも私は違う。特別枠の女子1人だし、デビューはみんなの順位に食い込む訳では無いからライバルとも言い難い。もちろん、仲もいいし友達だけど、少しだけ違う気がする。


そんな私にとって、君ってだれかと考えた時、すぐに思いついたのは私のことを応援してくださる人達だった。今はまだ公開されていないから、そんな人たちどころか私を批判する人もいないと思うけど、きっと今後どちらも増えていく、と思う。批判に打ち勝てるほど私のメンタルは強くないけれど、私のことを見て、応援してくださってる人がいるのなら、私は今よりももっと、もっと輝ける。


私を批判という名の声から優しく守ってくれる私のファンの人を、私は、私として、アイドルとして貴方の前に立ちたい。貴方が私を守ってくれたように、私もあなたのそばに居るし、一緒に歩んでいくから。


ほかの女の子によそ見しないで、私だけ見ててね。


私のたった一瞬の未来のために、貴方の今を捧げて欲しい。どこかで必ず、そのお返しはするから。たとえ、私が残れなかったとしても、私という存在を忘れないで。
次に会えるその時は、きっと今以上に輝いてるから。


無心で踊って、歌い続けてエンディングになる。
終わってみれば、あっけないほどあっという間だった。でも、その瞬きのために、私はここにたっているんだなって。
自覚すると、涙がこぼれそうになる。本当に幸せで、かけがえのない一時だった。


ぐっと涙をこらえて、ゆっくりと頷く。
貴方の思い、私、ちゃんと受け取るね。


『닿기를 바래요(届いてるよ)』


カットの声がかかって、力が抜けたように床にへたり込む。せき止められてたものが決壊したかのようにはらはらと零れてく涙を見て、隣にいた佳太はお疲れ様と、わしゃわしゃと頭を撫でてくれた。

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