Twins.［名前変換オリジナル］

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皐月side



スーパーで俺はAのご所望品である肉を手に取った。



そこでふと思う。



この肉がAの肉だったらなあって。



自分の肉を切り刻まれたらAはどんな反応をするんだろう。



どんな風に顔を歪ませてくれるんだろう。



そして切り刻んだあとは俺の胃の中にAがずっといることになるんだ。



本物の一心同体になれるんだね。



俺はそれに大きな喜びを感じた。




｢本当に1つになって生まれてきたらよかったのに｣



何度も思っていたことをあえて口にした。


なんでいきなりそうしたかったかわからないけど。




｢2500円になります｣



店員は俺を一瞥してそう告げる。



本当は今この街に俺ら双子のことを知ってる人は少ないのかもしれない。



でも俺はもうこの世界で生きていきたくない。



俺とAの二人きりの世界がいい。



たとえあの狭い家だとしても。



...いや、それがいい。



｢ごほっ、、｣


そんな時、俺は突然吐き気を催した。


慌ててスーパーに設備されているトイレへ駆け込んだ。



俺の口から出るのは今朝食べたわずかなものと...



｢...｣


俺は顔を顰めると一思いにそれを流した。



｢...早く帰らないと｣



Aがお腹空かせて待ってる。







だけど俺のその考えは杞憂だったらしい。



｢...A？｣




家にAの姿はなかった。



どうして、Aは動けないはずなのに...



玄関先にAの靴は置いたままだった。


だとしたら。




｢誰かに連れ去られた？｣



俺は荷物を置くと急いで家を飛び出した。



今なら間に合うか。



Aが連れ去った犯人を俺は知っていた。






数十分は走っただろう。


目の前に見覚えしかない後ろ姿が見えた。



そう。あれは...



俺は必死に距離を縮めた。


そして俺が新太の肩を掴もうとしたその時。




｢こいつです｣



新太の冷たい声と同時に俺の視線は下へ落ちた。



いや、落とされたと言った方がいいだろう。



俺は両腕をしっかり捕えられていた。



｢皐月、ごめん...｣



降ってきた声にはっとして顔を上げたら



新太の腕に抱えられているAが俺を見下ろしていた。



｢A...｣



俺の腕がAに伸びることは...無かった。

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