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皐月サイド
俺は学校帰り、宛もなく町を歩いていた。
Aと一緒じゃない帰り道はこんなにも虚しいものなのか。
世界とはなんてつまらないものなんだろう。
俺は大方、Aは遅くまで家に帰らないつもりだと思っていた。
「ご飯...」
俺は目の前に見えたファストフード店に入った。
夜こんなもの食べたなんてAが知ったら怒るだろうなあ。
Aは栄養士かってくらいメニューに気を使うからなあ。
俺は空いていたカウンターの席に1人座った。
外食なんて初めてなんじゃないだろうか。
...いや、そんなこともない。
母と1度だけ言ったことがあった。
あの日はAが風邪を引いた日だった。
俺らには保険証はなく、風邪を引いても病院には行けない。
俺らが風邪をひくたび母が看病してくれていた。
その日はちょうど家にあった薬が切れてしまって、町まで出て薬屋に買いに行かなければならない日だった。
俺は母と一緒に町へ出たのだ。
俺も母も帽子を被って人目を避けながら町を歩いていた。
無事薬を買ったあの日の帰り道。
俺は窓越しにパスタを美味しそうに食べる家族の姿を見た。
「僕も、食べたいなあ...」
自分でも無意識のうちに言っていたようだった。
俺ははっとして口を覆い、母を見た。
すると母はくすりと笑い
「食べる？」
と優しく言ってくれたのだ。
あの日のパスタは今まで食べた何よりも新鮮で俺の頭の中に鮮明に焼き付いていた。
母もおいしいね、なんて微笑みながら頬張っていた。
普通の親子みたいだって思った。
もし双子として生まれて来なければこんな日々が続いてたんじゃないかって思った。
俺がAと共に宿らずもう少しあとに生まれてきてたら...
きっとこんなに母も辛い思いをしなくて済んだだろうに。
小さいながら俺はそんなことを考えながら大事に食べていた。
「あの日以来...か」
俺は目の前にあるハンバーガーにかぶりついた。
...うまかった。
でも...
「Aのご飯の方がおいしいな...」
俺はしみじみとそんなことを感じていた。
そういえばあの日パスタを食べた時も言ってたな。
『皐月、おいしい？ 』
『うん。でもママのご飯の方がおいしい！』
＿＿＿＿＿結局俺はAのことも母のことも何をされても大好きなんだ。
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晴れの空(プロフ) - 空百合さん» コメントありがとうございます...！！こうしてコメ残してくれることがほんとに嬉しいです...わかりました！更新頑張りますね...！ほぼ休止状態が激しいですが応援してくれると嬉しいです！ (2018年9月23日 17時) (
レス) id: ba85e0c2c1 (このIDを非表示/違反報告)
空百合(プロフ) - なんてコメントすればいいのかわからないんですけど……続きがすごく気になります！特に、20番のお話は好きです。やめないでくださるとうれしいです……！ (2018年9月19日 2時) (レス) id: b07a96ee40 (このIDを非表示/違反報告)
晴れの空(プロフ) - arさん» 完結させられるように頑張ります！新しい作品も作りますのでぜひリクとかもしあれば気兼ねなく言ってください...！！本当にありがとうございます！！ (2018年9月5日 0時) (レス) id: ba85e0c2c1 (このIDを非表示/違反報告)
晴れの空(プロフ) - arさん» ありがとうございます...！！今すごく泣きそうです...もう私の作品なんて楽しみにしてくれる人はいないのかもしれないってすごく思ってたのでこんな温かいコメント頂けて嬉しいです... (2018年9月5日 0時) (レス) id: ba85e0c2c1 (このIDを非表示/違反報告)
ar - 初めてコメントさせて頂きます。今回の作品で初めて晴れの空さんの書かれている作品を拝見させて頂きましたが、更新を毎日楽しみに待っております！今回も完結まで読ませて頂きたいですし、今後も他の作品が是非見たいです！ (2018年9月4日 21時) (レス) id: 3a674cfdde (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：晴れの空
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ika/
作成日時：2018年3月17日 20時
