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翌朝、
彼が設定したアラームよりも早く目が覚めた。
自然と起き上がり、まだ眠っている彼を起こさないようにそっとベッドから降りる。
髪の毛を整えてから、キッチンに向かった。
それから数分後、彼が目を擦りながら現れる。
「おはようございます」
「おはよ〜。超いいにおいすんだけど」
「全部食べきらなくて大丈夫ですからね」
早朝からガッツリとした食事は負担がかかるだろうと思い、ほんの軽食程度の味噌汁と副菜を何種類か用意した。
「一緒に暮らしてるっぽいことしたいんです。私のワガママですよ」
「じゅうぶん過ぎるよ……ありがとう、A」
とろん、と下がった瞼。
「い、いえ……」
優しい笑顔に胸がどきん、と跳ねる。
「俺早く帰るから、夜どっか食べに行く？」
嬉しいデートのお誘いに、どうしてもすぐに頷けない。
「やっぱ外は落ち着かない？」
本当は行きたい。行きたいけれど、目先の楽しみと引き換えに全て失う可能性まで考えてしまって。
こうして、私のマイナス思考によって、2人が一歩先に進むことを阻んでいる。
「……はい。ごめんなさい」
「謝らないの。ほら、なんて言うんだっけ？」
「よしくん大好き」
これは以前私が提案したことなのだが、かなり照れる。
今も私は顔が真っ赤だ。
「やばい、超頑張れる」
これを喜んでくれるのは、この世に彼しかいない。
そんなこと考えたら、余計に恥ずかしくなってきた。
やがてマネージャーさんから連絡が来て、彼は玄関で靴を履く。
「あ、俺の好きな店がテイクアウトやってるから、それ買って帰るね」
「ありがとうございます。楽しみです」
「じゃ、いってきます」
そっとハグをして、
「いってらっしゃい」
と手を振った。
彼が家を出た後も、まだ身体はぽかぽかしている。
引っ越して間もないこの部屋には、至る所にダンボールが積んである。それを片っ端から開けていく。
あっという間に太陽がのぼり、時刻は午前8時。
朝のドラマを見て、その15分後にテレビの中のよしくんに「おはようございます」とつぶやいた。
数時間前までここにいた人……
やっぱりまだ信じられない。
いつか、この状況に慣れる日は来るのだろうか？
笑顔も、声も、いつも一緒なのに、
テレビの中では"みんなのイノッチ"という感じがする。
それがほんの少し切なくもあるのだ。
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ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - 櫂さん» 櫂さん、こちらもお楽しみいただけて幸いです。本当にありがとうございます。いつでも遊びにきてください！ (2022年8月12日 7時) (
レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
櫂 - こちらの作品も読ませていただきました……本当に素敵な作品です。幸せな空間がすぐ想像出来るので、また読みにきたいと思います。完結までお疲れ様でした！ (2022年8月6日 23時) (レス) id: 4f295eac92 (このIDを非表示/違反報告)
ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - ひささん» ひささん、ありがとうございます！ぜひともよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年10月19日 0時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
ひさ(プロフ) - 新しいお話、楽しみにしてます！ (2021年10月18日 5時) (レス) @page44 id: d7d462c614 (このIDを非表示/違反報告)
ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - ひささん» ひささん、いつもありがとうございます。そうですよね……やはり寂しさが募りますよね。私の物語がそのようにお役に立てていること、大変恐縮です……！本当に嬉しいです。完結までお付き合い頂けると幸いです。 (2021年10月5日 1時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾖｰﾘﾝ | 作成日時：2021年9月19日 1時
