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井ノ原さんとは、あれから何度も撮影現場で顔を合わせるのだが、
その度に「今日も美味しかったよ」と言ってくれる。
いつもと変わらぬ笑顔。
それは本当に嬉しいことなのに、私の心はザワついていた。
道具屋さんに行った前後で、井ノ原さんの態度が全く変わらないことに、私は少しばかり寂しさのようなものを感じているらしかった。
なんて贅沢な悩みだろう。
(この菜箸、井ノ原さんとおそろいなんだよな……)
多分井ノ原さんは何にも思ってないだろうけど、
私はもう可笑しいくらい意識してしまっている。
ダメだ。雑念を払うように、両手で自分の頬をぺちりと叩いた。
気を取り直して次の料理を作ろうと包丁を握った時、
「Aさん、ちょっと」
と撮影スタッフに呼ばれた。
調理場を出てスタッフの後ろをついて歩き、
撮影スタジオに足を踏み入れる。
私にもわかるくらい、とんでもなく空気がピリついていた。
井ノ原さんがいないんだな、とすぐに思う。
「何これ？」
お怒りモードの女優さんが、目の前の料理を指さして私に問いかける。
「……ええと、ここのシーンで子供たちに振る舞う朝食です」
「わかってるわよ、そんなこと。どういう意図なの？」
「朝忙しいので、少し簡素化した盛り付けにしています」
物音ひとつしないスタジオは異様。
「ねぇ、本当に台本読んだの？私の役が、こんなことすると思う？」
何も言えなかった。
私は最善を尽くしたつもりだった。
でも、この女優さんにしてみれば、私の答えは間違いだということのようだ。
彼女は「ハァ」とあからさまに苛立った様子で溜息をつき、「ちゃんと仕事しなさいよ」と言い放った。
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ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - 櫂さん» 櫂さん、こちらもお楽しみいただけて幸いです。本当にありがとうございます。いつでも遊びにきてください！ (2022年8月12日 7時) (
レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
櫂 - こちらの作品も読ませていただきました……本当に素敵な作品です。幸せな空間がすぐ想像出来るので、また読みにきたいと思います。完結までお疲れ様でした！ (2022年8月6日 23時) (レス) id: 4f295eac92 (このIDを非表示/違反報告)
ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - ひささん» ひささん、ありがとうございます！ぜひともよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年10月19日 0時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
ひさ(プロフ) - 新しいお話、楽しみにしてます！ (2021年10月18日 5時) (レス) @page44 id: d7d462c614 (このIDを非表示/違反報告)
ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - ひささん» ひささん、いつもありがとうございます。そうですよね……やはり寂しさが募りますよね。私の物語がそのようにお役に立てていること、大変恐縮です……！本当に嬉しいです。完結までお付き合い頂けると幸いです。 (2021年10月5日 1時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾖｰﾘﾝ | 作成日時：2021年9月19日 1時
