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俺が慌てた声を上げると友達も急いで身体を起こして屋上を素早く後にした。廊下を走っていく。
その途中人に会うことは無く、それが俺達の気持ちを煽らせた。けれど誰もいない廊下を走るのは爽快で、つい癖で唇を軽く舐める。
教室の扉を勢い良く開けるとクラスメイトの視線が一斉に此方に向き、身体が少しチクチクする。教師は俺達を睨みつけていて、こばわった身体を無理矢理動かして自分の席に座った。
すると教師は何も言わず、黒板にチョークを走らせ始める。遅刻した時になにも言わないパターンが一番恐ろしい。
背中の汗がじわりと滲んでいった。次から気をつけよう。俺の陰に隠れていた友達は自分の後ろの席に座っていた。
座ってから少し経った後、友達は俺に静かに耳打ちをする。いきなりなだったため、驚いてしまい小さく肩をはねらす。
「これ、一番怖いパターンだよな、」
「……それな」
まるで心の中を読まれたかのように、頭に浮かんでいたことをそのまんま言われたので少し反応が遅れたが何とか応答する。
友達はそれ以上は何も言わなかった。集中を黒板に向けるのではなく、前のように窓に視線を向けた。
校庭では複数の生徒達がグラウンドをぐるぐると必死に走っていた。季節的にはもう秋に入っていて、窓から冷たい空気が肌に伝わる。
もう寒い季節になってきたので、どうやら長距離をしているようだ。自分は運動部に入っているので、それなりに体力はある方だから余裕だと思う。
そんな事を考えながらしばらく窓をのぞき込んでいた。するとさっき屋上で会った藤ヶ谷が、横尾さんと楽しそうに走っているのが目に入った。
ジャージが少しぶかいのか、自然と萌え袖になっている。凄い破壊力だ。汗も少しながらかいているようで、その萌え袖で拭っている。
そんな藤ヶ谷が可愛すぎて、俺は熱くなった顔を隠すように手で顔を覆った。見た目はクール、仕草は可愛いとかたちが悪すぎる。
ちょっと藤ヶ谷を見ただけでこんなにも照れてしまう自分は、本当に彼の事が好きなんだと改めて思い知らされた。
また彼の事を好きになって良いのか分からない。再びあんな事言われてしまったら、俺のメンタルは保つことなく崩れるだろう。それはそれで怖い。
けれどもし、可能性が少しでもあるのならもう一度彼に恋してみたいと思った。
そのためにはアピールしなければならない。それでキツい言葉をかけられるだろう。
それでも良いから、彼に近づきたい。俺の想いは完全にこじらせてしまっているようだ。
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作者名:supia | 作成日時:2021年10月19日 21時